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月の「永久影」へ太陽光を届ける技術、Maxarなどが開発–鏡の調整を自動化
2023.06.27 15:21
光学衛星コンステレーション「WorldView」などを運用する米Maxar Technologiesは、月面の太陽光が当たらないエリアへ光を届け、発電に利用する技術「Light Bender」の開発に取り組んでいる。
月の南極付近にあるクレーター内部などは、日光のまったく当たらない「永久影」の領域がある。こうしたところには、水が氷の形で存在すると考えられる。こうした水は、米航空宇宙局(NASA)の月探査計画「Artemis(アルテミス)」で宇宙飛行士の月面滞在に活用できる可能性がある。
ただし、永久影の内部では太陽光発電は行えない。米航空宇宙局(NASA)は、月面での太陽光発電、原子力発電、送電といった技術を検討している。
MaxarのLight Benderは、NASAが研究支援プログラム「NASA Innovative Advanced Concepts(NIAC)」「Announcement of Collaboration Opportunity(ACO)」の対象として選んだ技術。組み合わせた複数の鏡で太陽光を反射させ、永久影エリアへ光を届ける。
鏡の角度は太陽の位置に応じて自動的に調整され、常に同じ場所へ光を当てられる。これにより、永久影エリアでも太陽光で発電できる。
Light Benderの特徴は、装置の設置や調整が自動化される点にある。何らかの方法で装置を適切な場所に置けば、あとは無人で運用可能だ。
MaxarはNASAと開発を進め、2025年に地球でデモンストレーションする計画。