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NTTとJAXA、衛星データを軌道上で処理するAI技術を共同研究–宇宙データセンター実現へ
2023.02.28 14:24
日本電信電話(NTT)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、人工衛星による観測で得た大量のデータを効率的に地上へ伝えるため、軌道上の「宇宙データセンター」であらかじめ処理する人工知能(AI)技術の共同研究を1月から開始した。
観測衛星の収集するデータの量は膨大だが、データを地上へ送信できる時間が限られていたり、通信容量が少なかったりして、すべてのデータを遅滞なく伝えることは難しい。NTTとスカパーJSATは合弁会社「Space Compass」を立ち上げて、静止軌道衛星を経由して地上へ伝送する光データリレーサービスで、大容量かつ準リアルタイムのデータ伝送技術を研究している。
新たに開始した共同研究では、衛星観測データから情報をより早く、効率的に地上に届けるため、処理用のコンピューティング基盤に対するAIの適用性を検証する。宇宙から地上へ伝送するデータ量を必要な情報だけに絞り、限られた通信リソースでも準リアルタイムに地上局へ転送可能とすることを目指す。この処理方法は「エッジコンピューティング」と呼ばれる。
この取り組みでは、NTTは、AIの処理アルゴリズムのほかにiGPUやVPUといった宇宙計算機環境を検討、評価などし、AIアプリケーション実装といった実機検証を担当する。JAXAは、地上と同じように開発作業が進められる宇宙計算機環境を構築する。
最終的に、高高度プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)と静止軌道(GEO)や地球低軌道(LEO)の衛星を統合して光無線通信ネットワークで地上を結び、分散コンピューティングによってデータ処理する宇宙のICTインフラ基盤「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の実現を目指している。