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ロボットアームが火星のサンプルチューブを回収–ESAが動画公開

2023.02.06 16:13

佐藤信彦

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 欧州宇宙機関(ESA)は、火星から岩石などの試料を持ち帰る計画「Mars Sample Return(MSR)」について、試料が入ったサンプルチューブを拾い上げたりするロボットアーム「Sample Transfer Arm(STA)」の紹介動画を公開した。

STAをESAが開発(出典:ESA)
STAをESAが開発(出典:ESA)

 MSRは、ESAと米航空宇宙局(NASA)が共同で実施している取り組み。火星で活動中の探査車(ローバー)「Perseverance」によって集められた岩石や堆積物、大気のサンプルを回収し、地球まで持ち帰る計画だ。Perseveranceは現在、サンプルチューブを本体に格納すると同時に、一部を地面に投下しつつ移動している。

 これらサンプルチューブは、これから火星に到着する回収ステーション「Sample Retrieval Lander(SRL)」に集めてから、ロケット「Mars Ascent Vehicle(MAV)」に積み替え、火星周回軌道へと打ち上げる。このSRLへのサンプルチューブ輸送は、可能であればPerseveranceが自力で行うほか、新たに投入する2機のヘリコプターを使う。

 ESAが開発しているSTAは、全長2.5m、7自由度(DoF)のロボットアームで、SRLに取りつけられる。2つのカメラ、多数のセンサーを備え、自律動作でサンプルチューブをグリッパーでつかんで持つことが可能だ。Perseveranceからサンプルチューブを取り出したり、ヘリコプターによって近くに落とされたサンプルチューブを拾い上げたりして、MAVに入れる役割を担う。

地表に置かれたサンプルチューブを拾って格納するSTA(出典:ESA/YouTube)

 MAVで火星周回軌道に投入されたサンプルチューブは、軌道上で待機している宇宙船「Earth Return Orbiter(ERO)」に渡され、地球へと送られる。地球到着は2033年の予定。


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