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インターステラテクノロジズ、シリーズDで38億円を調達–「ZERO」の開発に注力
2023.01.16 11:42
インターステラテクノロジズ(北海道広尾郡大樹町)は1月16日、シリーズDラウンドで総額38億円の資金調達を完了したと発表した。
引受先となるのは、SBIインベストメント、日総工産、サツドラホールディングス、De Aardappeleters、サンコーインダストリー、サイバーエージェント、INCLUSIVE、セブンスターズキャピタル1号、温泉道場、RDS、IMV、KADOKAWA、萩原建設工業および、個人投資家。
個人投資家には、佐々木嶺一氏(Ichigo Ventures代表取締役)、山本典正氏(平和酒造代表取締役社長)、浅田一憲氏(ハウディ取締役会長)、山本博士氏(スマレジ代表取締役)、西野輝泰氏(有洸会理事長)、藤田誠氏(INCLUSIVE代表取締役社長)、山本正喜氏(Chatwork代表取締役CEO)、中島瑞木氏(coly代表取締役社長)、中島杏奈氏(coly代表取締役副社長)、中野智哉氏(i-plug代表取締役)らが名を連ねる。
同社は、宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」に続くロケットとして、超小型人工衛星を宇宙空間(地球周回軌道上)に運ぶための小型ロケット「ZERO」(長さ25m、直径1.7m、総重量33t)を開発している。
世界の宇宙市場は年々拡大しており、2040年には今の3倍近くとなる110兆円の巨大市場に成長すると予測されている。特に、小型サイズの人工衛星の需要が大きく伸びており、衛星を使ったインターネット通信の普及、衛星データを活用した「超スマート社会」の実現など、幅広い分野への波及効果が期待されている。
急拡大するニーズに対し、衛星を運ぶための唯一の手段となるロケットは、国内の打上げ回数が年数回と世界シェアの約2%にとどまっており、国内の衛星打上げ需要の半分が海外に流出しているのが現状だという。加えて、世界の宇宙輸送の約2割を占めていたロシアのロケットが使えなくなるなど、宇宙輸送能力不足が宇宙利用拡大の世界的なボトルネックとなっている。
同社によると、「ZERO」は自社設計により低価格かつ高性能で量産可能なエンジンシステムをはじめ、コア技術を自社で開発しているという。さらに、設計から製造、試験、評価、打上げ運用までを自社で一気通貫させた国内唯一の開発体制、民生品や3Dプリントなどの最先端技術の積極活用などにより、1機あたり6億円以下と低価格化を図っている。
今回調達した資金は、「ZERO」の研究開発、設備投資、人材採用、材料費などに充てる予定。
同社では、「ZERO」の初号機について、2023年度の打上げを目指しており、いち早く市場に投入することで、国内への低価格で高頻度な宇宙輸送手段の構築に貢献していくとしている。