特集
日本から超小型衛星を宇宙へ–「新」宇宙輸送サービスへの期待と課題
2022.03.22 08:00
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世界で起こる「超小型衛星革命」。だが、衛星は宇宙に運んでもらって初めて仕事ができる。そこで欠かせないのが輸送機。宇宙へ衛星を運ぶ「足」だ。
1月18日に開催された「超小型衛星利用シンポジウム2022」(主催:宇宙航空研究開発機構=JAXAの新事業促進部)では、日本で新しい宇宙輸送サービスに取り組むユニークな民間企業3社が勢ぞろい。準備中の宇宙輸送サービスの現状や日本の宇宙ビジネスの課題、展望を語り合った。
「世界最高頻度」の打ち上げを目指すスペースワン
登壇したのは今年、和歌山県から初の民間ロケット打ち上げを実施予定のスペースワンの阿部耕三氏、北海道で観測ロケット「MOMO」打ち上げに成功しているインターステラテクノロジズ(IST)の稲川貴大氏、そして米国企業の超小型衛星打ち上げサービスを日本で展開しようとするANAホールディングスの鬼塚慎一郎氏。それぞれの事業紹介から始まった。
「契約から打ち上げの時間を世界で一番短くしたい。年間20機ほどを打ち上げることで、世界最高頻度を目指していく」と語るのは、スペースワンの阿部氏だ。同社は和歌山県紀伊半島の先端近くにある専用射場「スペースポート紀伊」から専用ロケット「カイロス(KAIROS)」を使い、小型の人工衛星打ち上げに特化した宇宙輸送サービスを提供するために作られた会社だ。「今年中のサービスインを目指している」と阿部氏。
カイロスはギリシャ神話に出てくる「時間の神様」の名前に由来しているという。打ち上げから契約まで約1年という世界最短を目標に掲げ、「時間を味方につけてビジネスをしていきたい」。さらにカイロスにはギリシャ語で「チャンス」という意味もあり「好機をつかんで事業を成功させたい」という意味も込める。
カイロスは固体燃料ロケットだ。スペースワンは2018年に4社が出資して設立されたが、そのうちの1社がIHIエアロスペース。前身を含めれば日本初のペンシルロケットからJAXAの基幹ロケット「イプシロン」に至るまで数十年間、日本の固体ロケットを開発してきた企業だ。「今まで培われてきた技術を継承し、信頼性のあるロケットを開発している」。阿部氏によると射場はほぼ完成、現在さまざまな試験を行っているところだという。