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月を目指す「HAKUTO-R」、打ち上げ後1カ月間で深宇宙航行の安定運用を確認

2023.01.12 15:52

佐藤信彦

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 ispace(東京都中央区)は、民間月探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の月着陸船(ランダー)について、打ち上げからの1カ月間で軌道制御マヌーバ完了と正常航行を確認した。計画通り運用できたことから、同社製ランダーが安定して深宇宙航行可能と実証できたと同時に、ミッション1で今後の運用確実性が高まったという。

これまでの航行経路(出典:ispace)
これまでの航行経路(出典:ispace)

 ミッション1のランダーは、Space Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」に搭載され、米フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から2022年12月11日に打ち上げられた。12月15日に初回の軌道制御マヌーバ、2023年1月2日に2回目の軌道制御マヌーバを完了し、予定の軌道を航行している。搭載している貨物(ペイロード)も、すべて不備がない。

 ランダーは、1月11日時点で地球から約134万km離れた地点を航行中。1月20日ごろには地球から最も離れ、約140万kmの地点まで到達する見通し。その後、マヌーバを随時実施し、3月下旬に月周回軌道へ入って、4月末の月面着陸を目指す。

月着陸までの予定軌道(出典:ispace)
月着陸までの予定軌道(出典:ispace)

 ミッション1では、打ち上げから着陸までの間に10段階のマイルストーンを設定しており、それぞれに設けたサクセスクライテリアを達成することを目指している。今回、1カ月にわたる深宇宙航行の安定運用を完了したことで、マイルストーン「サクセス5」までクリアできたことになる。

ミッション1の流れ(出典:ispace)
ミッション1の流れ(出典:ispace)

 ミッションの途中で何らかの課題が発生した場合でも、その時点までに得たデータやノウハウなどの成果を正確に把握したうえで、2025年までに後続するミッション2、「Artemis」計画に貢献するというミッション3へとフィードバックする。これにより、技術と事業モデルの信頼度と成熟度を商業化に足る水準にまで高める計画。

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