ニュース

「宇宙でコケを栽培するための重力発生装置」開発のDigitalBlastがクラウドファンディング開始

2022.09.16 18:47

飯塚直

facebook X(旧Twitter) line

 宇宙産業の活性化や宇宙業界の新事業創出をサポートするDigitalBlast(東京都千代田区)は9月16日、2024年の国際宇宙ステーション(ISS)でコケ栽培実験を行う重力発生装置「AMAZ(アマツ)」の打上げ費用の一部の調達するため、クラウドファンディングを開始したと発表した。

 クラウドファンディングサービス「READYFOR」を通じて支援者を募集し、支援者には支援額に応じた今回のコケ栽培実験にまつわるリターン(研究開発レポートや宇宙コケの樹脂キーホルダーなど)を提供するという。

 プロジェクト名は「人類史に残る!? 宇宙農業研究が踏み出す月面生活の第一歩!」。目標金額は、300万円で、目標金額に達しない場合は全額が返金となる「All or Nothing」方式となる。

 クラウドファンディング実施期間は、2022年9月16日〜11月14日23時00分まで。

 近年、NASA(アメリカ航空宇宙局)によるアルテミス計画をはじめとした有人宇宙探査が盛り上がりを見せており、宇宙環境での食の確保や植物栽培に対する課題意識が高まっているという。

 しかし、国際宇宙ステーション(ISS)などの微小重力環境が植物の育成に大きな影響を及ぼすことが明らかになっている一方で、月や火星といった低重力環境の植物育成への影響は現在十分に把握できていない。

 そこで同社は、こうした状況を踏まえ、月面で人類が自給自足できる環境をつくるため、生態循環維持システム構築に向けたプロジェクト「NOAH」を立ち上げた。

 その第一歩として、重力発生装置「AMAZ」は位置付けられている。「AMAZ」を利用して、富山大学学術研究部理学系・唐原一郎教授、蒲池浩之准教授の研究グループと共同研究を進めるコケ栽培実験をISS上で実施する予定。

 同実験では、「AMAZ」の装置の一部を回転させることで発生する月面と同じ重力(地球の6分の1)のほか、再現できる多様な重力下での栽培を通して、植物の重力応答に関する基礎データを取得していくという。

 同社では、個体サイズが小さなコケを栽培することで、植物個体全体に対する重力影響を評価し、将来の宇宙環境での植物栽培の礎となる実験になるとしている。

Related Articles