インタビュー

子どもが「宇宙」で思い浮かべるキャラ1位「こてつくん」誕生秘話–きっかけは作品不足への危機感

2023.07.12 09:00

藤井涼(編集部)日沼諭史

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「ゆるいタイトル」は、にしむらゆうじ氏のふとした一言で決定

――「宇宙なんちゃら こてつくん」というユニークなタイトルですが、どのように決まったのでしょう。

 最終的には、にしむらさんのアイデアをそのまま採用しました。作品にファンタジーを感じさせる要素はあまり入れたくなくて、子ども向けではあるけれど、少しリアルな世界観を描きたいと思っていたんです。

 そうすると物語の背景設定としては、なんとなく昭和のような雰囲気になるのかなと。であれば、タイトルに主人公の名前は入れるとして、「宇宙アカデミー こてつくん」なのか、「宇宙少年 こてつくん」なのか、あるいは「宇宙飛行士 こてつくん」なのか。ただ、それだと堅苦しい感じもあって、いろいろ悩んでいるときに、にしむらさんがふとクリエイター視点で「宇宙なんちゃら、みたいな堅苦しくないタイトルでもいいのでは?」と(笑)。LINEスタンプもそうですが、そういうにしむらさんの独特の感性とゆるい感じがタイトルにあっていると感じ、このタイトルに決まりました。

――その感性というか、発想はすごいですね。そうしたゆるい感じがありながらも、作品内のエピソードや、途中で差し込まれる「今日のなんちゃら雑学」などの宇宙情報は、しっかり勉強になる内容ですよね。

 3者だけだと、やはり宇宙に関する情報元が限られてしまいますから、子ども向けに宇宙テーマの体験型学習などを提供している日本宇宙少年団さんに、企画の立ち上げ当初からいろいろと相談させていただいています。主人公たちが通う宇宙アカデミーの学科、パイロット科や宇宙飲食科、宇宙アテンド科などがありますが、そのあたりはJAXAやNASA、大学、航空学校などの組織も参考にしながら設定していたりもします。

とはいっても、WEBまんがについてはあまり小難しいことは考えず、にしむらさんのオリジナリティや制作いただくストーリーやキャラクターを大事に、いまも子ども目線を意識し過ぎることのないよう、大人も楽しめる内容を心がけています。

 アニメの世帯視聴率は平均2%でずっと推移していて、これはアニメ作品の中でもかなり高めです。年齢層としては男の子、女の子どちらも4~6歳あたりの視聴率が最も高く、10%を超える週もあります。

アニメ版「宇宙なんちゃら こてつくん」(C)Space Academy/ちょっくら月まで委員会2

 2023年3月に外部の調査会社に依頼して2~8歳の男女各100サンプル、計1400人にアンケート調査したところ、「宇宙と聞いて思い浮かべるキャラクターは?」と訪ねた記述式の回答では、なんと1位に「こてつくん」が入りました。

 ただ、そもそも宇宙に興味がない人ももちろんいて、その理由を聞くと「宇宙があまり身近に感じない」とか「宇宙を意識することがない」とか「難しそう」といった回答が上位にきています。そのあたりを、まさにこてつくんというキャラクターの力でこれから解決していきたいですね。

――現在はNHK Eテレ(地上波)以外の動画配信サービスでも視聴できるようですね。

 「dアニメ」や「Amazon Prime Video」などでも見ることができます。ただ、圧倒的にテレビ(NHK Eテレ)の視聴者が多いようです。NHK Eテレということもあって、親が安心して子どもたちに見せやすい、というのもあるのかもしれません。

 2023年6月の「東京おもちゃショー2023」に出展したところでも、こてつくん人気の高さを実感できました。ブースではさまざまな宇宙日本食を展示したのですが、呼び込みをしなくてもたくさんの子どもたちや親御さんに来場いただき、宇宙食を通して宇宙に興味関心を持ってもらえたり、こてつくん撮影会では列が途切れることなく大盛況でした。

「東京おもちゃショー2023」では50種類以上の宇宙日本食を展示

――こてつくんの人気の理由はどこにあると思いますか。

 アンケートでは「キャラクター」たちの人気が高いですね。SE(サウンドエフェクト)風のゆるい感じの「なんちゃらボイス」とか、「今日のなんちゃら雑学」とか、まんべんなく楽しんでもらえているようですが、やはりキャラクターが刺さっている感じがします。

 アニメ化のときに意識したのが、気楽に見られるようにすることでした。通常のアニメのように1話あたり20分以上もあると、小さな子どもは疲れてしまうかもしれないので、10分ほどの1話完結型のショートアニメにしました。それと、子どもに受け入れられやすいキャラクターにして、耳に残るようなキャッチフレーズ、真似したくなるハモリ声(なんちゃらボイス)、踊りたくなる曲などがポイントです。宇宙をテーマにしつつもSFではなく、ゆるい日常を描くような雰囲気で、国民的アニメのようにずっと長く続けられたらいいな、という思いで作っています。

――アニメの制作陣も豪華ですし、企業タイアップなどのコラボも積極的に行っている印象です。

 アニメを制作いただいているファンワークスさんや監督の作田ハズムさんも素晴らしく、また「妖怪ウォッチ」や「宇宙兄弟」のアニメの脚本も手がけられている加藤陽一さんにシリーズ構成を担当いただき、僕らの期待をはるかに超えるレベルのものを作って下さっています。「今日のなんちゃら雑学」「なんちゃらボイス」やアニメオリジナルキャラクター「DAXAくん」などは制作陣より産まれました。「じいちゃん」役キャストの山口勝平さんは、にしむらさんのLINEスタンプを以前から使っていて、こてつくんのWEBまんがが始まったときからのファンで、ことあるごとに宣伝してくれました。ナレーションのムロツヨシさんもいい味を出していますよね。

 コラボの面では、プラネタリウムの製造で知られる五藤光学研究所さんが日本各地のプラネタリウム施設で投影するオリジナル番組に関わっていただいています。また、イオンエンターテイメントさんには映画館のイオンシネマで、こてつくん公式SHOPとして常設でこてつくんグッズを売り場に置いていただいています。いつかこてつくんの劇場版ができることが夢ですね(笑)

 外食業界では子どもたちが夏休みの時期にキャラクターを使った企画をされることが多く、ガストやバーミヤンなど、すかいらーくブランドのファミリーレストランでも、こてつくんのカプセルトイなどがもらえるタイアップを実施いただきました。

 また、はま寿司さんや、東海地域のららぽーとさん、つくばエクスプレスさん、よみうりランドさん、スーパー銭湯の極楽湯さん、仙台うみの杜水族館さんなど多くの企業でのタイアップ展開をいただきました。全国のミュージアムショップや科学館、プラネタリウム劇場で宇宙グッズを展開しているビーシーシーさんにはこてつくんグッズ売り場を作っていただき、浜松町にある「宇宙の店」では、毎月家族向けのイベントを開催いただいております。

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