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JAXAとNHK、火星衛星探査「MMX」探査機に搭載する4K・8Kカメラ完成

2024.05.10 18:17

UchuBiz編集部

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 JAXAとNHKは5月8日、2026年度に打ち上げ予定の「火星衛星探査計画(MMX)」の探査機に搭載するスーパーハイビジョンカメラ(4K・8K)を共同で完成させたことを発表した。これにより、火星と火星の衛星「フォボス」「ダイモス」をスーパーハイビジョンで記録・映像化し、放送などで広く伝えることを目指す。

 JAXAでは、火星の衛星の起源や火星圏の進化の過程を明らかにするため、探査機の開発を進めている。MMXでは、フォボスとダイモスの科学観測のほか、フォボスに探査機を着陸させ、その表面から表層物質のサンプルを採取して、地球に持ち帰ることを目標とする。

 JAXAとNHKは2020年に共同開発協定を締結し、宇宙空間で撮影できるスーパーハイビジョンカメラの開発を進めてきた。完成したカメラは、探査機の進行方向を撮影する8Kカメラと、進行方向に対して側面方向を撮影する4Kカメラの合わせて2台で構成されているという。

 ロケット打ち上げ時の振動・衝撃や宇宙空間での過酷な環境にも耐えられる設計となっており、JAXAの規定に基づく耐環境試験をクリアしているという。火星と地球との間の通信速度の制約から、データ量の大きな4K・8K映像はそのまま送ることが難しいため、撮影間隔は10秒に1回とし、連続的に撮影した静止画を地球に伝送した後、滑らかな映像に変換する方式を採用しているとのこと。

 今後は、完成したスーパーハイビジョンカメラを探査機に取り付け、探査機とのシステム結合試験を実施予定。なお、5月27〜29日にNHK放送センターで開催される「NHK Tech EXPO 2024」に試作機が展示される。探査機向けのスーパーハイビジョンカメラと同じ形状・構造を持ち、実際の耐環境試験にも使用された試作機だという。

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