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アストロスケール、デブリ除去の研究開発で英宇宙庁から170万ポンドを調達
2022.09.26 15:07
アストロスケールホールディングス(東京都墨田区)は9月26日、100%英国子会社であるAstroscaleが、地球低軌道から役目を終えた衛星を除去する、宇宙ゴミ(スペースデブリ)除去研究プログラム「COSMIC」の開発を続けるため、英宇宙庁(UKSA)から追加資金170万ポンドを調達したと発表した。
COSMIC(Cleaning Outer Space Mission through Innovative Capture)のミッションは、MDAやThales Alenia Space、Nammo、GMV-NSL、NORSS、Goonhilly、Satellite Applications Catapult、Willis Towers Watsonなどを含むイングランドやスコットランド、北アイルランドを拠点とする10社のパートナー企業と協力して開発されている。
最新フェーズでは、アストロスケールが保有している、対象となるデブリに近づいたり接触したりする技術(Rendezvous and Proximity Operations Technologies:RPO)や捕獲機能を活用。現在地球を周回している、役目を終えた英国の衛星2機を2026年までに除去するという。
同社は現在、混雑した軌道にある英国の衛星の中から複数の衛星を除去対象候補として選定しており、そのうち2機が最終的な除去対象としてCOSMICのフェーズBで決定される予定。最終決定には、さらなる宇宙状況把握データを活用するという。
欧州宇宙機関(ESA)やUKSA、OneWebとのパートナーシップで進める「Sunrise」プログラムで軌道上ミッションで役目を終えた複数の人工衛星を除去する衛星「ELSA-M」(End-of-Life Services by Astroscale – Multi client)の開発を進めている。COSMICでのデブリ捕獲機は、ELSA-Mを進化させるもので、最初のELSA-Mは、英国のデブリ除去ミッションに先立ち2024年の打ち上げを予定する。
アストロスケールは、宇宙機の安全航行の確保を目指し、持続可能な軌道を継承するため、全軌道で軌道上サービスに専業で取り組む世界初の民間企業。本社やR&D拠点がある日本をはじめ、シンガポール、英国、米国、イスラエルとグローバルに事業を展開している。
2013年の創業以来、軌道上で増加し続けるデブリの低減・除去策として、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去(End-of-Life:EOL)、既存デブリの除去(Active Debris Removal:ADR)、故障機や物体の観測・点検(In-Situ Space Situational Awareness:ISSA)、寿命延長(Life Extension:LEX:)など、軌道上サービスの実現を目指して技術開発を推進している。
長期間安全で持続可能な宇宙環境を目指すめの技術開発、ビジネスモデルの確立、複数の民間企業や団体、行政機関と協働し、宇宙政策やベストプラクティスの策定に努めているという。