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アストロスケール、「商業デブリ除去実証」フロントローディング技術検討に選定

2022.08.22 16:53

飯塚直

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 人工衛星を製造、開発するアストロスケール(東京都墨田区)は8月22日、世界初の大型デブリ除去などの技術実証を目指す、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「商業デブリ除去実証(Commercial Removal of Debris Demonstration:CRD2)」のフェーズIIでのフロントローディング技術検討の企画競争で契約相手方の1社に選定されたと発表した。採択件数は2件で、もう1社は川崎重工業となっている。

 同契約は、商業デブリ除去実証フェーズIIフロントローディング技術検討として、システム要求やシステム開発仕様の検討、極近傍接近、捕獲把持の「Bread Board Model(BBM)」試験を行うものになるという。BBMは、新規技術要素を含む開発において設計の実現性を確認するために制作、試験されるモデル

 概念検討成果は商業デブリ除去実証フェーズIIを実施するための実証システムの技術的成立性やフェーズII後の事業展開とその事業性に関する検討の参考にされる。

 同社によると、同企画競争における採択は、今後行われる商業デブリ除去実証フェーズIIの実施に関する契約における契約相手方選定への参加条件になっているという。

 アストロスケールは、すでに商業デブリ除去実証フェーズIの契約相手方として契約を締結しており、現在商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」を開発している。

 ADRAS-Jについては、2022年度内にRocket Labのロケット「Electron」による打ち上げを予定しており、軌道投入後、非協力物体である日本のロケット上段への接近・近傍運用を実証。長期にわたり放置されたデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行うという。

 アストロスケールは、宇宙ゴミ(スペースデブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組むアストロスケールホールディングス(東京都墨田区)の子会社。 2013年の創業以降、軌道上で増加し続けるデブリの低減・除去策として、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去(End-of-Life:EOL)、既存デブリの除去(Active Debris Removal:ADR)、故障機や物体の観測・点検(In Situ Space Situational Awareness:ISSA)、寿命延長(Life Extension:LEX)など、軌道上サービスの実現を目指し技術開発を推進している。

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