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実は厄介な月の「レゴリス」–NASA、電気を使った除去技術を月面でテスト
米航空宇宙局(NASA)は現地時間4月10日、電気を使って月の塵(レゴリス)を除去する技術のテストを、米Firefly Aerospaceによる民間月探査「Blue Ghost」ミッション1で2024年後半に実施すると発表した。
レゴリスは形状が尖っており、機材に悪影響を与えることが知られている。常に静電気を帯びているため粘着性が高く、絶縁性も高いため、除去が難しいとされている。
NASAが開発している新しい「Electrodynamic Dust Shield(EDS)」は、電極と電界を組み合わせることで、放熱器やソーラーパネル、宇宙服などからレゴリスを除去するという。2019年には、国際宇宙ステーション(ISS)でも除去実験が実施された。
Blue Ghostミッション1では、月着陸船(ランダー)「Blue Ghost」がEDSシステムを含めた貨物(ペイロード)を月まで輸送する。月探査計画「Artemis」の今後を見越して、EDSシステムの実証実験を予定している。
ミッション1では、月の裏側にある「月の海」の一つである、大きな盆地「Mare Crisium(危難の海)」内の火山のような地形「Mons Latreille(ラトレイユ山)」に着陸する予定。30億年以上前に起きたとみられる火山の噴火で形成された危難の海は玄武岩質の溶岩で溢れかえっていたと考えられている。
Blue Ghostミッションは、月までのペイロード輸送をNASAが民間企業に委託する「商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services:CLPS)」として実行される。