ESA、月面に舗装道路を作るアイデアを検証--レゴリスを太陽光で溶かして舗装

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ESA、月面に舗装道路を作るアイデアを検証–レゴリスを太陽光で溶かして舗装

2023.10.17 13:43

佐藤信彦

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 欧州宇宙機関(ESA)は、月面を容易に探査できるようにするため、太陽熱で溶かした月の塵(レゴリス)からレンガのような素材を作り、これで舗装道路を敷設するアイデアの実現性を検証した。

 月の表面は、細かい砂のようなレゴリスで覆われている。重力が小さいために探査車や宇宙船の動きで巻き上げられやすく、機械に入り込んだり宇宙服に付着したりすると、さまざまなトラブルを起こしてしまう。そのため、探査エリアや宇宙船の発着パッド周辺は、舗装してレゴリスの影響を受けないようにしたい。

探査エリアなどを舗装したい(出典:ESA)
探査エリアなどを舗装したい(出典:ESA)

 ESAは検証プロジェクト「PAVER」(PAVing thE Road for large area sintering of Regolith)を開始し、レゴリスから舗装用資材を製造できるかどうかの検証に取り組んでいる。

火星探査も視野に入れたPAVERプロジェクト(出典:ESA)
火星探査も視野に入れたPAVERプロジェクト(出典:ESA)

 出力12kwの二酸化炭素レーザーでレゴリスに似せて作った砂を加熱し、舗装用資材の作成を試験。熱で溶けた部分は固まってガラス状になり、溶けなかった部分は焼結してレンガのような状態になる。

 直径4.5cmのレーザーを動かすことで、大きさが約20cm、厚さが約1.8cmの、穴の開いたやや丸い三角形の板状資材を作った。これを複数組み合わせ、求められる耐荷重によっては何層も重ねて舗装していく。

模擬レゴリスから作った舗装用資材(出典:ESA)
模擬レゴリスから作った舗装用資材(出典:ESA)

 実際に月面で舗装工事をする場合は、レーザーでなく太陽光の利用を想定している。直径2mほどの凸フレネルレンズを使って太陽光線を収斂(しゅうれん)させることで、レゴリスを溶かすのに必要な熱を得る考えだ。

取り組みの紹介ビデオ(出典:ESA/YouTube)

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