ニュース

月探査「アルテミス」の事前調査衛星「CAPSTONE」、通信が一時断絶–復活し初の軌道修正へ

2022.07.07 11:59

佐藤信彦

facebook X(旧Twitter) line

 米航空宇宙局(NASA)は、協定世界時(UTC)6月28日(日本時間6月28日)に打ち上げた小型衛星「Cislunar Autonomous Positioning System Technology Operations and Navigation Experiment(CAPSTONE)」について、通信障害を起こしていたものの、無事に復旧できたと発表した。

 CAPSTONEは、大きさが電子レンジほどのキューブサット。月探査計画「Artemis(アルテミス)」計画において、月周回軌道で待機する有人拠点「Gateway」の事前準備に必要なデータを収集することが目的。

事前準備に必要なデータを収集する(出典:NASA)
事前準備に必要なデータを収集する(出典:NASA)

 ニュージーランドのマヒアからRocket Labのロケット「Electron」で打ち上げられた後、第3段プラットフォーム「Lunar Photon」に搭載された状態で、低地球軌道(LEO)に投入された。ここで加速されてから6日後に切り離され、CAPSTONE単独で目標の月周回軌道へ向かっていた

打ち上げ成功(出典:NASA)
打ち上げ成功(出典:NASA)

 CAPSTONEは7月4日に太陽電池パネルの展開と姿勢制御を正常に終え、内蔵バッテリーへの充電を開始。1回目の軌道修正を実施する準備段階にあった。ところが、通信障害が起きてしまい、7月5日に実施予定だった軌道修正は延期された(その1その2)。

 その後、復旧を試みたところ無事に通信が回復し、CAPSTONEが正常に機能していることを確認できた。予定通りの軌道を飛行しており、現在は早ければ米東部夏時間(EDT)7月7日午前11時30分(日本時間7月8日午前0時30分)に初の軌道修正を実施する計画。

 CAPSTONEが月の周回軌道に入るのは、約4カ月後の11月13日の予定。CAPSTONEの飛行経路は、惑星探査機や惑星の位置関係を3D表示するNASAのサービス「NASA/JPL Eyes」で確認可能。CAPSTONEのデータは、打ち上げから1週間ほどして反映され始めるという。

CAPSTONEも「NASA/JPL Eyes」に掲載される(出典:NASA)
CAPSTONEも「NASA/JPL Eyes」に掲載される(出典:NASA)

Related Articles