高校生主体で開発した超小型衛星、打ち上げに成功--運用も高校生

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高校生主体で開発した超小型衛星、打ち上げに成功–運用も高校生

2023.11.13 17:02

佐藤信彦

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 クラーク記念国際高等学校(北海道深川市)は、同校の生徒主体で開発した超小型衛星「Clark sat-1」(愛称「Ambitious」)の打ち上げが、Space Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」で成功したと発表した。衛星開発や打ち上げは、Space BD(東京都中央区)が支援してきた。

 同衛星の開発と運用は、クラーク記念国際高校がSpace BDと東京大学が協力しながら進めてきた「宇宙教育プロジェクト」の一環。さまざまな課題解決を宇宙視点で考えて実行できる、未来のリーダー人材育成を目指し、2021年7月に開始した。

 Clark sat-1は、10cm角で質量約0.94kgの1Uサイズ衛星。クラーク記念国際高校の生徒が主体となり、2021年10月に開発を始め、2023年3月に完成。2022年12月には、衛星管制に必要な基地局アンテナを「Clark Next Tokyo」(東京都板橋区)に設置した。

Clark sat-1(出典:クラーク記念国際高校)
Clark sat-1(出典:クラーク記念国際高校)

 今後、Clark sat-1は国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれ、日本実験棟(Japanese Experiment Module:JEM)「きぼう」から予定軌道へ投入される。放出から1カ月程度で運用開始となる予定。運用は、Clark Next Tokyoの管制局でアマチュア無線従事者免許を取得した生徒らが担う。

打ち上げ瞬間の様子(出典:Space BD、クラーク記念国際高校)
打ち上げ瞬間の様子(出典:Space BD、クラーク記念国際高校)

 Clark sat-1ミッションに設定されているマイルストーンは、以下の通り。

  • ミニマムサクセス:ISSからの放出成功
  • フルサクセス:Clark sat-1との通信成功
  • エクストラサクセス:衛星搭載カメラで地球の撮影。衛星に搭載した音声やイラストデータを衛星から受信
  • エクストリームサクセス:「実現可能性は極めて低いが、生徒の意思によりチャレンジする」スペースデブリ(宇宙ゴミ)の撮影
今後のマイルストーン(出典:Space BD)
今後のマイルストーン(出典:Space BD)

 今回の打ち上げは、米航空宇宙局(NASA)がISSへの貨物や物資の輸送を民間企業に委託する「商業物資輸送サービス」(Commercial Resupply Services:CRS)の29回目となる(SpaceX CRS-29:SpX-29)。

関連リンク
クラーク記念国際高校プレスリリース
Space BDプレスリリース


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