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クアルコム、Iridiumとの提携を解消–「Android」スマホ向け衛星通信サービスで
Qualcommは、1月のCESで発表した衛星通信サービス「Snapdragon Satellite」について、衛星ネットワーク企業Iridiumとの提携を解消した。Snapdragon Satelliteは、携帯通信サービスが利用できない地域で、「Snapdragon」チップを搭載するスマートフォンが衛星経由で通信できるようにするもの。今回の提携解消により、その未来は不透明になっている。
スマートフォンから衛星への大規模通信を、緊急SOSによって最初に展開したのはAppleだ。この機能は2022年10月に、「iPhone 14」シリーズに初めて搭載された。Qualcommがその数カ月後に発表したSnapdragon Satelliteは、携帯通信サービスを利用できない地域でも、「Android」スマートフォンでIridiumの衛星を利用して通話やテキストメッセージを可能にする、デバイスに組み込まれた有料サービスだ。Qualcommは、この機能に対応するスマートフォンが2023年後半に登場する見込みとしていたが、そのためには、スマートフォンメーカーが自社製品にこれを実装する必要があった。
CESでのSnapdragon Satelliteのデモは成功したにもかかわらず、これに対応するスマートフォンはこれまでのところまだ発売されておらず、Iridiumが米国時間11月9日に出したプレスリリースによると、QualcommがIridiumとの提携を終了した理由はそこにあるという。
Iridiumの最高経営責任者(CEO)であるMatt Desch氏はプレスリリースの中で、「この提携がすぐに実を結ばなかったことは残念だが、民生機器における衛星接続の拡大に向けて、業界の方向性は明確だと考えている」と述べた。
同社は衛星接続の「既存と将来のサービスプラン」に向けて、スマートフォンメーカーやモバイル業界各社との提携を引き続き模索していくとした。
Qualcommは、スマートフォンメーカーが求めているのはチップに基づくプロプライエタリーなソリューションであるSnapdragon Satelliteよりも、標準に基づく接続オプションだとするコメントを提供した。同社はSnapdragon Satelliteを終了するのか、別の提携先とともに続けるのかを明らかにせず、デバイスにおける衛星接続に今後も取り組んでいくとのみ述べた。
同社の広報担当者は、「当社は標準に基づくソリューションでIridiumとの協力を継続する一方、今年になって発表した独自のソリューションについては取り組みを中止する予定だ」と述べた。
10月にハワイで開催された同社の「Snapdragon Summit」では、オンデバイスの生成AIをスマートフォンやPCに提供する新チップが話題の中心で、Snapdragon Satelliteに関する説明はなく、その行方はデバイスメーカー次第であることを物語っていた。
Qualcommのエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるChris Patrick氏は米CNETに対し、「Snapdragon Satelliteは、オンデバイスAIよりも大きなコミットメントだ。エンドユーザーとして、[OEM]として、また例えばGoogleのようなインフラを提供するエコシステムプレーヤーとして、越えなければならない壁がより大きい」と述べた。
同氏は、Snapdragon Satelliteの2024年の動向について具体的なコメントを避け、「多くのエネルギー、多くの議論、多くの良いことがあった。今後のことはいずれ分かるだろう」とだけ述べた。
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Iridiumのプレスリリース
(この記事はCNET Japanからの転載です)