ニュース

月面の厄介な塵「レゴリス」、静電気で跳ね返す?–NASAが助成金

2023.10.24 12:53

塚本直樹

facebook X(旧Twitter) line

 アポロ以来約半世紀ぶりの有人月面着陸を目指す「Artemis III」ミッションでは、飛行士の宇宙服に付着し、精密機器を故障に追いやる月の塵「レゴリス」への対処が重要となる。

 ハワイ・パシフィック大学(HPU)の研究チームは、レゴリスを静電気で跳ね返す液体金属を用いた新素材「LiqMEST」(Liquid Metal Electrostatic Protective Textile:液体金属静電保護繊維)を開発するために、米航空宇宙局(NASA)から約5万ドルの助成金を獲得した。

出典:NASA

 LiqMESTは、柔軟性と伸縮性を持ちながらも、静電気によって生じる電界がレゴリスを効果的に撥ね返すという。宇宙服の表層への使用が期待されるほか、月面機器の保護カバーとしての活用も想定されるという。

 チームリーダーのArif Rahman氏は、LiqMESTがレゴリス問題の答えであると確信しているという。彼のチームは2024年5月までにプロトタイプを完成させる予定で、成功すれば、同技術はArtemisミッションで使用が検討されることになる。

 アポロ以来の有人月面着陸は2025年から2026年に実施予定で、このスケジュールは宇宙服と宇宙船「Orion」の開発状況にも左右される。なお、新素材が宇宙服として認定されるまでには通常数年かかる。

関連リンク
Hawai’i Pacific University

Related Articles