ニュース
スペースシフト、スイス企業と業務提携–水力発電所の積雪などの状況を監視
2023.08.24 16:49
衛星データ解析システムを開発するスペースシフト(東京都千代田区)は8月24日、地理空間と機械学習技術を専門とするスイス企業Wegaw(ウィゴー)と業務提携契約に合意したと発表した。
積雪や融雪のモニタリング技術に強みがあるWegawと提携することで水力発電所を運営する企業にWegawが確立した持続可能な発電に貢献できるデータやシステムを提供する。最適な設備運転とメンテナンスを促進し、財務リスクを最小限に抑え、発電所の運用と管理の最適化を支援していくという。
スペースシフトによると、水力発電所の最適な運用のためには、流入水や上流側にあるダムへの流入量のモニタリングと管理が不可欠と説明。流域上流からの流入水量だけでなく、冬季には積雪量や雪が融解した際の水量も含まれており、その把握手段として、人手による現場調査や現地視察が必要となっている。
しかし、目視であるが故に一時点の表面状況を判断しているほか、広大なダムの周辺へと出向く必要があるため、作業負荷が大きいという問題もある。
こうした状況から、積雪量や融雪時の水量について、現在の状況を遠隔で広範囲に把握でき、中長期的に予測できるシステムが求められている。
Wegawは、地上での目視による観測に加えて、衛星データやヘリコプターでの調査、ドローンの活用など、あらゆる地域に展開可能な地理空間技術を組み合わせ、作業員が立ち入れない場所での積雪や融雪の状況を1日単位で迅速にモニタリングできる技術があるという。
Wegawのモニタリング技術では、積雪の深さを表す「積雪深(Snow Height:SH)」と融雪による水量を表す「積雪水当量(Snow Water Equivalent:SWE)」を正確にマップを作成できるとしている。
これらの活用により、水力発電所が管理するダムへの流入水量の予測精度を高め、ダムやタービンなどの設備管理や修繕計画が最適化できると説明。Wegawの雪と水のデジタルツインでは、現在の状況だけでなく将来の融雪後の流入水位も推定できるという。
将来的には、スペースシフトの災害モニタリング技術のひとつである洪水エリア検出技術と、Wegawの雪・水資源のデジタルツイン技術を統合し、より価値の高いシステムの提供を目指すとしている。
関連リンク
スペースシフトプレスリリース