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衛星の部品や機器を宇宙で実証する「革新的衛星技術実証」4号機にテーマ1件追加

2023.06.21 12:30

飯塚直

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月20日、「革新的衛星技術実証」4号機に搭載する実証テーマを新たに1件追加したと発表した。新しい6テーマと再チャレンジの10テーマが4号機に搭載される。

 今回新たに「部品・コンポーネント・サブシステム」区分として、「次世代宇宙用MPUを活用したオンボードAI物体検知及び検知精度向上の軌道上実証」(三菱重工業)が追加選定された。

 搭載される宇宙用のMPUは、民生用と違い、放射線環境に耐える必要がある。放射線に耐えられる“Silicon On Insulator(SOI)”と呼ばれる半導体製造技術と、複数の機能を1つのチップに搭載する“System On Chip(SOC)”という設計技術をベースにした、今回の「SOISOC4」の宇宙環境での性能を検証する。

 加えて、SOISOC4とオンボードAIチップを活用して船舶を軌道上で検知して、必要なデータのみをダウンリンク、取得したデータで再学習してオンボードAIチップにあるAIを更新するというサイクルが成立することで軌道上で実証するという。

革新的衛星技術実証4号機の実証テーマ(出典:JAXA)
革新的衛星技術実証4号機の実証テーマ(出典:JAXA)

 JAXAが進めている「革新的衛星技術実証プログラム」は、超小型衛星などを活用した新規要素技術を実証、新規事業につながる技術を実証することが目的。宇宙基本計画で示された「産業・科学技術基盤を始めとする宇宙活動を支える総合的な基盤の強化」の一環。

 大学や研究機関、民間企業が開発した部品や超小型衛星、キューブサットに宇宙で実証する機会を提供するプログラムであり、部品単位で軌道上実証できる機会としては唯一説明している。開発された機器や部品をJAXAの人工衛星に搭載して打ち上げ、約1年間宇宙で運用して得られたデータは提案者に提供される。

 2月8日には、新たに3件を追加。2022年10月に軌道投入に失敗した3号機(「イプシロン」ロケット6号機)の実証テーマのうち、再チャレンジを希望する10件については、改めて4号機での再チャレンジが決定している。

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