ニュース

火星探査機「InSight」、砂が積もって機能停止へ–掃除道具を積んでいない理由は?

2022.11.11 14:45

佐藤信彦

facebook X(旧Twitter) line

 米航空宇宙局(NASA)は、火星探査機「InSight(インサイト)」が間もなく機能停止するとツイートした。太陽光発電パネルに積もった砂の影響で、必要な電力が得られなくなっているため。

InSightは間もなく機能停止する(出典:NASAのInSightミッション公式Twitterアカウント)

 InSightの目的は、主に火星の内部構造を調べること。地震計などを備え、火星の地震「火震」を観測してきた。2018年11月の火星到着以来、多くの火震を捉え、火星の地殻やマントル、コアといった構造の解析に貢献した。さらに、隕石の落下に伴う振動と音も記録している。

 活動に必要な電力は、太陽光発電パネルから得る。ただし、火星の砂が次第に積もって太陽の光を遮り、発電量力が低下していた。

 こうした状況に対し、「なぜ、埃を拭き取ったり、吹き飛ばしたりできる仕組みがないの?」という質問をよく受けるという。NASAは一連のツイートで、この疑問に答えた。

 NASAによると、そのような機構を搭載すると、コストも体積も増え、システムが複雑になってしまうそうだ。そのため、火星探査ミッションを成功させるのに最も単純で経済的な方法として、予定している探査期間中に十分な電力が得られるようソーラー発電パネルを大きくすることを選択した。

 InSightは、火星の1年間(地球の時間では、約2年に相当する)を探査する計画だった。そして、結果的に約4年という、およそ2倍の期間、活動できた。

 NASAは、InSightで得られた科学的成果をウェブサイトで紹介している。

Related Articles