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JR西とJAXA、宇宙機のヘルスマネジメント事業で共創–故障予測AIを活用
2022.10.17 14:15
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と西日本旅客鉄道(JR西)は10月17日、「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ」(J-SPARC)の枠組みのもと、10月から故障予測AIを活用した宇宙機のヘルスマネジメント事業を創造する「事業コンセプト共創活動」を開始すると発表した。
JR西は、鉄道設備のメンテナンスでの生産性向上の観点から独自のデータアナリティクス組織がセンサーやカメラから得られる多様なデータを分析し、人工知能(AI)などを活用した設備の故障を予測する技術を開発している。
既に自動改札の故障予測をはじめとする実際の業務にAIを活用しており、データ分析によるAI開発技術、その業務実装ノウハウをJAXAへと提供。適切な課題を設定、実装方法をデザインするという。
JAXAは、人工衛星を運用する上で、人工衛星の健全性確認に必要な多様なテレメトリデータを取得。地上に送られるデータ群を運用管制員が観察することで、故障や異常を未然に防止し、健全に衛星を運用している。データ分析による宇宙システム解析検証技術の研究にも取り組んでいる。
今回の共創活動では、JAXAの持つ人工衛星からのテレメトリデータアセット、人工衛星に関する運用のノウハウと、JR西の持つ鉄道事業での設備メンテナンスに関するデータ分析、AI開発技術、実装ノウハウを掛け合わせ、人工衛星における故障・異常兆候の検知AIを開発。人工衛星の予知保全に挑戦するという。
同活動により、JR西は「宇宙機のヘルスマネジメント事業」の創出を目指すとともに、既存の取り組みである鉄道設備の状態監視保全・予知保全技術へとフィードバックし、精度を高めていく方針。得られた知見を他産業の設備機器などへも水平展開し、設備機器などのメンテナンスのスマート化にも取り組むという。
JAXAでは、技術協力を通して活動を支援するとともに、人工衛星運用の健全性管理における品質の向上・効率化における新たな知見獲得を目指す。
両者は、同活動を通して、人工衛星運用における故障、異常兆候の検知AI技術について検討を促進し、鉄道だけでなく、人工衛星や設備機器などのメンテナンスにおける品質とコストの課題を解決。
同活動で得られた知見を生かし、データ分析による寿命予測・故障確率の推定による運用中の人工衛星の健全性評価やリスク評価につなげ、将来的に軌道上衛星の有効な利活用事業やリスクヘッジ事業の構想、その事業性を検討するという。
J-SPARCは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者などとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発、実証などを実施し、新しい事業を創出するプログラム。2018年5月から始動し、これまでに30を超えるプロジェクトや活動を進めている。