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タイタン大気圏で動力飛行をめざす「Dragnfly」、氷と砂の平原を調査へ–23年度打ち上げ

2022.10.13 13:40

塚本直樹

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 土星の衛星「Titan(タイタン)」を探査する、米航空宇宙局(NASA)の「Dragonfly(ドラゴンフライ)」の着地地点に関する情報を、コーネル大学の惑星科学者ことLéa Bonnefoy(レア・ボンヌフォイ)氏率いる科学者チームが明かしている。

 2027年に打ち上げられるDragonflyは、2033年にタイタンへと到着する。そして、搭載した回転翼によって上空を移動しながらタイタンを探査する。飛行能力は30分で約16キロメートルと、車輪による探査車の移動よりもはるかに広大だ。これにより2年間のミッション期間で、数百キロメートルの範囲の探査を予定している。

 Dragonflyの着陸地点は、幅約80キロメートルのクレーター「Selk(セルク)」に近い、「Shangri-La(シャングリラ)」砂丘地帯となる。この地域はNASAの土星探査機「Cassini(カッシーニ)」が2004年から2017年にかけて探査したエリアだ。同地点の特徴としては、砕けた氷の岩盤が存在することがわかっている。

 「DragonflyはTitanの赤道直下の乾燥地帯に着陸する予定だ。ここには時々メタンの雨が降るが、砂丘や小山、天体の衝突によるクレーターがある、地球の砂漠のような場所だ」と、Bonnefoy氏は説明している。

 科学者はDragonflyの探査により、タイタン表面の炭化水素と有機分子との相互作用によって生じたであろう、前生物学的化学物質(生物を起源としない、炭素を多く含む分子)に関心を寄せている。

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