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台風の目を宇宙から連続ステレオ撮影、詳細な3D構造が明らかに–北大と東北大

2022.09.21 17:05

佐藤信彦

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 北海道大学と東北大学の研究チームは、超小型衛星で台風の目を複数角度から連続撮影し、目内部の詳細な3次元構造を観測することに成功した。

 台風の勢力を正確に推定するには、目を作っている雲「壁雲」の形状を高精度で把握することが役立つ。しかし、静止気象衛星で撮影した画像の解像度は低いうえ、撮影角度が一定であるため、雲の3次元構造をステレオ観測できない。また、観測対象を複数角度から撮影可能な人工衛星は存在するものの、数が少なく、日常的な気象観測には使えないという。

「ひまわり8号」が捉えた台風11号(8月30日午後2時40分00秒。出典:情報通信研究機構)

 北大と東北大は、両大学とフィリピン政府で共同開発した超小型衛星「DIWATA-2」を使用し、壁雲の撮影を試みた。同衛星は、カメラの視野を特定の緯度と経度に固定して連続撮影する機能を備え、短時間に複数角度から高解像度で観測対象を撮影できる。こうして連写した画像を解析し、壁雲の3次元構造を推定する計画だ。

 研究チームは、2022年8月末に発達した「台風11号」を標的に設定。台風の位置や進路予測を参考にして、DIWATA-2が台風に最接近するタイミングで台風の中心部を狙って連続撮影した。使用したカメラは、魚眼カメラと地上分解能55mのカメラで、いずれもモノクロだった。

台風11号の経路(出典:気象庁)

 日本時間(JST)8月30日午後14時42分51秒から同44分51秒の2分間、18回の撮影を実行したところ、複数角度からの連写に成功。一連の画像を解析することで、壁雲の詳細な3次元構造を推定できた。

連写した画像の一部(出典:北大、東北大)

 今後は、台風の目の詳細な構造を調べ、台風勢力との関係を明らかにするとしている。

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