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インターステラ、ロケットと衛星による「宇宙の総合インフラ会社」目指す

2022.09.12 16:08

飯塚直

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 ロケットを開発、製造するインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は9月12日、人工衛星を開発する100%子会社のOur Stars(北海道大樹町)とともに、低価格で便利な宇宙輸送サービスと次世代の衛星サービスを通じた、国内初の「宇宙の総合インフラ会社」になることを宣言した。

 同社によると、日本はロケット打ち上げに適した立地や強固な製造業のサプライチェーンを有し、世界でも数少ない宇宙産業の潜在能力を持つ国だという。そこで、今後成長する宇宙産業を宇宙輸送と宇宙利用の両面から支えることで、日本の国力強化や地球の課題解決に積極的に取り組むと説明している。

 世界の宇宙市場は年々拡大しており、2040年には今の3倍近くとなる110兆円の巨大市場に成長すると予測されている。特に小型サイズの人工衛星の需要が大きく伸びており、衛星を使ったインターネット通信の普及、衛星データを活用した「超スマート社会」の実現など、幅広い分野への波及効果が期待されるとしている。

 一方、衛星を運ぶための唯一の手段となるロケットは、国内の打ち上げ回数が年数回と世界シェアの約2%にとどまっており、国内の衛星打ち上げ需要は海外へと流出している。さらに、世界の宇宙輸送の約2割を占めていたロシアのロケットが使えなくなるなど、宇宙輸送能力不足が宇宙利用拡大の世界的なボトルネックとなっている。

 経済安全保障の観点からも、宇宙輸送の強化が急務となっており、日本では2022年5月に公表された内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)と「宇宙基本計画」で民間活用などを通じて、その能力を抜本的に強化する方針が示されている。

 同社は、宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」に続くロケットとして、超小型人工衛星を宇宙空間(地球周回軌道上)に運ぶための小型ロケット「ZERO」(長さ25m、直径1.7m、総重量33t)を開発、製造している。

開発を進めているZERO(出典:インターステラテクノロジズ)
開発を進めているZERO(出典:インターステラテクノロジズ)

 一般的には複雑で高額となるエンジンシステムを独自設計するなど、コア技術を自社開発しており、設計から製造、試験や評価、打ち上げ運用までを自社で一気通貫させた国内唯一の開発体制を構築。さらに、電子装置(アビオニクス)への民生品の活用などにより、低価格化を図り、1機あたり6億円以下のコストで製造。海外のロケット会社と引けを取らない国際競争力のあるロケットとして、2023年度の初号機打ち上げを目指している。

 小型ロケットは、需要が大きく拡大している小型衛星を軌道までオンデマンドで運ぶことや打ち上げ時期、ミッションなど応じて柔軟に対応できる点が特徴と説明している。

 衛星通信分野では、米Space Exploration Technologies(SpaceX)の「Starlink」をはじめ、多数の小型衛星を協調させる「衛星コンステレーション」(同社は「衛星通信 2.0」と呼んでいる)がトレンドになっている。

 同社の子会社であるOur Starsでも、ピンポン玉サイズの超超小型衛星数千個を編隊飛行させ、大きなアンテナとしての機能を果たす「衛星フォーメーションフライト」を独自に研究、開発している。これにより地上局アンテナを不要にし、スマートフォンなどのデバイスと衛星が直接通信できる次世代の「衛星通信 3.0」の実用化を目指している。

Our Starsによる衛星フォーメーションフライトのイメージ(出典:インターステラテクノロジズ)
Our Starsによる衛星フォーメーションフライトのイメージ(出典:インターステラテクノロジズ)

 世界では、SpaceXやBlue OriginRocket Labなど、民間ロケット会社による衛星との垂直統合型サービスが宇宙業界に変革をもたらしつつあるが、Our StarsもZEROによる宇宙輸送サービスと垂直統合的に事業を展開し、スピーディーな開発と低価格化を実現していくとしている。

 同社では、宇宙産業が今後どれだけ発展していくかは、宇宙輸送手段としてのロケットと、宇宙利用のハードウェアとなる人工衛星という「インフラ」分野でいかに革新を起こせるかにかかっていると考えていると解説。そこで同社は、初号機の打ち上げ時期がみえてきた中、革新的な衛星の開発とあわせた「総合インフラ会社」となることで、真に「誰もが宇宙に手が届く未来」の実現を目指すとしている。

(出典:インターステラテクノロジズ)
(出典:インターステラテクノロジズ)

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