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インターステラ、新射場に着工–「ZERO」に対応、2023年度の完成を予定
2022.09.09 12:24
インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は9月8日、新射場「Launch Complex-1」(LC-1)を北海道大樹町の商業宇宙港「北海道スペースポート」(HOSPO)内で着工したと発表した。
同射場は、同社が初号機打ち上げを目指して開発を進めている超小型人工衛星用ロケット「ZERO」の打ち上げに対応。北海道大樹町が整備し、2023年度の完成を予定している。
建設地は、これまでに宇宙空間に3回到達した観測ロケット「MOMO」の射場「Launch Complex-0」(LC-0)の隣。打ち上げ方向の東と南が太平洋に開かれ、空路や海路が混み合っていない点や高い晴天率など世界有数の好立地にあるのが特徴になるという。
世界の宇宙市場は年々拡大しており、2040年には今の3倍近くとなる110兆円の巨大市場に成長すると予測されている。特に、衛星を使ったインターネット通信サービスや地球観測などの分野で小型サイズの人工衛星の需要が大きく伸びており、2021年の世界の小型人工衛星打ち上げは1743機と2011年の約30機から急成長している。
一方で、衛星を運ぶための唯一の手段となるロケットは、世界の打ち上げ回数約140回(2021年)に対し、国内では年数回にとどまっている。加えて、昨今の戦争の影響もあり、特定のロケットが利用できなくなっていることから、宇宙輸送能力の強化が各国で急務となっている。
日本でも経済安全保障の観点から、2022年5月に公表された内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)と「宇宙基本計画」で民間活用などを通じて宇宙輸送能力を抜本的に強化することが明記されている。
打ち上げ射場を持っていないロケット会社が多い中、本社や工場まで約7.5kmと、ロケットの製造や組み立て、運搬が容易な近距離に射場を確保しているのは大きな強みだと説明。衛星打ち上げ事業者に対しては、自然豊かな北海道での快適な滞在環境を提供し、射場の面でも国際競争力のあるロケット打ち上げ会社を目指すとしている。
ZEROは、MOMOに続くロケットとして開発を本格化させている超小型人工衛星を宇宙空間(地球周回軌道上)に運ぶための小型ロケット(長さ25m、直径1.7m、総重量33トン)。
衛星の小型化が進む中、大型衛星との相乗りとなる中~大型ロケットよりも、小型衛星が目的とする軌道に直接運べる点、打ち上げ時期やミッションへの自由度が高い点が特徴だという。
国内既存の人工衛星打ち上げロケットの価格が40億~150億円であるのに対し、1機あたり6億円以下という圧倒的な低価格化を目標にしている。
一般的には、複雑で高額となるエンジンシステムを独自設計するなど、コア技術を自社で開発しているほか、設計から製造、試験・評価、打ち上げ運用までを自社で一気通貫させた国内唯一の開発体制、アビオニクス(電子装置)に民生品を活用するなど低価格で国際競争力のあるロケット開発を目指すとしている。