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安藤ハザマ、月に「シェルター」と「ジオフロント」–技術開発構想を発表

2025.06.03 17:30

UchuBizスタッフ

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 建設大手の安藤ハザマは6月3日、技術開発構想「放射線防護装置(宇宙シェルター)」と「ルナ・ジオフロント」を発表した。建設事業で培った地下空間構築やトンネル建設技術を応用する。

 月には地球の100倍以上の放射線が降り注ぐため、人類が月で継続的に活動するには、人や機材を保護する空間の構築と正確な被爆安全評価が不可欠と説明。恒常的な宇宙線と突発的な太陽フレアの両方を対象に、月の表面を覆う細かい砂(レゴリス)を遮蔽材料として使用した宇宙シェルターを検討する。

 宇宙シェルターでは、用途に応じた目標遮蔽性能の定義と遮蔽材料の構成や厚さを設計して、構造材や施工法の開発を検討する。宇宙線と太陽フレアが人や重要機器に及ぼす影響を評価して、避難警告(アラート)を発報する仕組みも検討する。

 月面でのさまざまな活動を実施するための仮説作業所や休憩所、一時避難所を想定している。宇宙シェルターの実現目標時期は2030年代。

 月には、過去の火山活動で形成された「溶岩洞」での地下空間の存在が確認されている。天然のシェルターとして将来的な活動拠点に活用できると期待されている。溶岩洞は、微少隕石の衝突や放射線被曝に対するシェルターとして注目されている。溶岩洞の内部は約マイナス20度とほぼ一定であることから、月面基地の候補地としても注目されている。

 そのため、空間を構築する技術の確立が必要と説明。ルナ・ジオフロント構想では、月の地下空間に構造物を建設して、地下空間を「人が働く空間」「住む空間」「重要設備を保護する空間」として活用する検討を進める。

 ルナ・ジオフロント構想では、溶岩洞の空間の広さや形状を探索するロボット、空洞の安定性を評価する技術、探索結果と安定性の評価結果から空間を掘削、補強して居住や研究に活用できる空間を施工する技術を検討する。月の地下空間での居住や研究、生産活動を実施する拠点としての用途を想定している。ルナ・ジオフロントの実現目標時期は2040年代。

 7月30日~8月1日に開催される展示会「国際 宇宙ビジネス展」(SPEXA、スペクサ)に出展し、構想の詳細を紹介するという。同社は「宇宙技術未来創造室」を2024年10月に設立。宇宙開発分野での技術革新と事業拡大を目指している。

(出典:安藤ハザマ)
(出典:安藤ハザマ)

関連情報
安藤ハザマ プレスリリース

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