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中国、昼間に地球から月へのレーザー測距に成功–世界初

2025.05.08 16:30

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 中国の衛星が、太陽の光が強い昼間に地球と月の距離をレーザーで測る実験を成功させた。世界初になるという。中国の宇宙機関である国家航天局(CNSA)内にある深宇宙探査実験室(Deep Space Exploration Laboratory:DSEL)が4月29日に発表した。

 4月26~27日に実施された実験では、地上にある口径1.2mの望遠鏡に赤外線レーザー測距システムを搭載し、通信航法技術試験衛星「天都1号」(Tiandu 1)に搭載された小型のレーザー反射器にレーザーを照射して、反射させることに成功した。昼間の観測では、太陽光による強力なノイズが加わることから測定が難しくなる。

 今回の昼間の測定は、夜間に実施された別のレーザー測距テストの数日後に実施された。夜間の実験では、月を周回する衛星「DRO-A」に搭載された反射器にレーザーが照射された。

 今回の昼間の測距実験の成功により、観測可能な時間帯が拡大し、中国が主導する月面基地計画「国際月研究ステーション(ILRS)」のような、深宇宙探査ミッションに応用できる可能性が広がることが期待される。

 実験はDSELが主導し、上海衛星工学研究所のほか中国科学院(CAS)の雲南天文台や上海天文台、中山大学などが協力した。天都1号は、中国の月探査計画「嫦娥」(Chang’e)のミッション「嫦娥6号」(Chang’e 6)を支援する、月との通信を中継する衛星「鵲橋(じゃっきょう)2号」(Queqiao-2)とともに打ち上げられた2機のうちの1機。

 天都1号と「天都2号」(Tiandu 2)は、月を周回する大型楕円軌道での編隊飛行、月軌道上での衛星間マイクロ波測距、月と地球の間の高信頼性伝送とルーティングなど数多くの技術試験を完了させているという。天都1号は現在、地球と月を往復する軌道を飛行している。

今回の実験のイメージ(出典:DSEL)
今回の実験のイメージ(出典:DSEL)

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DSEL発表
Space.com

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