
ニュース
ISS、宇宙ゴミ回避でスラスター噴射–中国の「長征」ロケット破片が接近
2025.05.02 13:02
国際宇宙ステーション(ISS)は4月30日、宇宙ゴミ(スペースデブリ)を回避するための運動(マヌーバ)として、スラスターを噴射した。
今回の回避の対象となったのは、2005年に打ち上げられた中国の「長征」ロケットの破片で、ISSに接近する軌道に入っていた。これを受け、米航空宇宙局(NASA)とRoscosmos、他の国際パートナーは、ISSの軌道をわずかに上昇させる「軌道上昇マヌーバ」を事前に計画していた。
軌道上昇のためのスラスター噴射は、Roscosmosの「Zvezda」(ズヴェズダ)モジュールにドッキングしている補給船「Progress 91」(プログレス91)が実施した。合計3分33秒のスラスター噴射でISSと破片との間に安全距離を確保。もし、この回避マヌーバを実施しなければ、破片はISSから約640m以内を通過していた可能性があるという。
このような回避マヌーバはISSでは珍しくなく、2024年11月には6日間で2回、スラスターを噴射した。今回の回避マヌーバはISSにとって、1999年以降で41回目のデブリ回避に関する軌道修正となった。
デブリは、ISSが周回する地球低軌道では秒速7〜8km(時速にして3万km弱)で周回している。ライフル銃の弾丸スピードが秒速1kmであることを考えると、その威力はすさまじい。実際、ISSの機体には微少なデブリによる穴が空いている。
