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米ミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」の責任者が指名–25兆円かけ3年以内に完成

2025.06.20 17:54

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 Trump(トランプ)大統領は米国のミサイル防衛システム「Golden Dome」(ゴールデンドーム)の責任者に米宇宙軍大将のMichael Guetlein(マイケル・ゲトレイン)氏を指名した。米国防総省が米国時間6月18日に発表した。

 Golden Domeはイスラエルの「Iron Dome」(アイアン・ドーム)をモデルにしたミサイル防衛システム。弾道ミサイルや極超音速ミサイル、巡航ミサイルなどのさまざまな脅威から米国を守る包括的な盾を作ることが目的。敵からのミサイルを検知、追跡、無力化するために設計された、宇宙に配備される先進的なセンサーやミサイル迎撃装置で構成される。その費用は1750億ドル(約25兆円)と見込まれ、3年以内に完成する予定と政権は解説している。

 米メディアSpaceNewsによれば、Trump氏はGolden Domeについて「我々はRonald Reagan氏が40年前に始めた仕事を真に完成させ、アメリカ本土へのミサイルの脅威を永遠に終わらせることになる」と表現、1980年代に同様の能力を提案したが、完全に実現することはなかった「スターウォーズ」として広く知られる戦略防衛構想(Strategic Defense Initiative:SDI)に言及した。

 上院軍事委員会に提出された今回の指名でGuetlein氏は、現在の宇宙軍作戦副部長からGolden Dome担当直轄プログラムマネージャーに昇格することになる。同氏はGolden Domeを第2次世界大戦中に原子爆弾を開発したManhattan Project(マンハッタン計画)に匹敵する規模だと説明した。

 Golden Domeには大きな技術的ハードルが存在する。音速の5倍以上で飛行し、予測不可能な機動が可能な極超音速ミサイルの迎撃は難しく、宇宙からの追跡には新たな赤外線センサーやレーダーセンサーが必要だ。迎撃ミサイル自体も、あらゆる面で進化させる必要がある。

 Guetlein氏は今後、政府機関、軍の各部門、民間企業の協力をまとめ上げ、予算の制約、政治的優先度、脅威に対する迅速な革新といった課題に対処することになる。

4月8日にコロラド州コロラドスプリングスで開催されたSpace Symposiumに登壇したGuetlein氏(出典:U.S. Air Force photo by Chad Trujillo)
4月8日にコロラド州コロラドスプリングスで開催されたSpace Symposiumに登壇したGuetlein氏(出典:U.S. Air Force photo by Chad Trujillo)

関連情報
国防総省プレスリリース
Michael Guetlein氏略歴(宇宙軍)
SpaceNews(5月20日掲載)
SpaceNews(6月18日掲載)

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