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NASA、大統領令で複数オフィス閉鎖へ–解雇人数は不明、科学プログラム予算も半減か

2025.03.11 13:51

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米航空宇宙局(NASA)は現地時間3月10日、いくつかのオフィスを閉鎖し、人員を削減すると発表した。

 NASAがメディア向けに発表した声明によれば、技術・政策・戦略局(Office of Technology, Policy and Strategy)、チーフサイエンティストオフィス(Office of the Chief Scientist)、多様性、公平性、包括性を管理する部門(Office of Diversity, Equity and Inclusion)にある多様性、公平性、包括性およびアクセシビリティ部門(Diversity, Equity, Inclusion (DEI) and Accessibility Branch)が閉鎖される。

 NASAは「労働力を最適化し、大統領命令に従うために人員削減(reduction in force:RIF)の段階的アプローチを開始する」と述べている。

 声明では解雇される職員の人数やどの大統領命令に従うのかは明示されていない。しかし、これは、Trump大統領が2期目の初日に命令した「すべての多様性、公平性、包括性、アクセシビリティ(DEIA)に関する指令、政策、プログラム、優遇措置、活動を排除する」ものである可能性が高いと海外メディアのSpace.comは指摘している

 2期目の初日(1月20日)に発令した大統領令は、行政管理予算局(OMB)や司法省(DOJ)、人事管理局(OPM)のトップに対して「連邦政府での違法なDEI、DEIAの義務、政策、プログラム、優遇措置、活動などどのような名称で呼ばれていようとも、あらゆる差別的プログラムの終了を調整する」よう指示している。

 NASAへは今後さらなる変更が予測されており、Trump政権は次年度予算でNASA科学プログラムの予算を最大50%削減する計画があると、海外メディアのArs Technicaが報じている。もしこれが現実になれば、「アメリカの宇宙科学と探査にとって絶望的な出来事になる」と惑星協会(The Planetary Society)は警告している。

 Trump政権は今後数週間以内に予算要求を発表する予定で、その詳細がまもなく明らかになるとみられている。

関連情報
大統領令
Space.com
Ars Technica

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