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中国、月面の電力問題に「レーザー送電」を提案–月軌道の衛星から伝送

2025.01.23 12:55

塚本直樹

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 中国は、月面での電力問題に向けて、月軌道を周回する衛星からレーザーで電力を伝送することを考えていると、海外メディアのSpaceNewsが報じた。

 中国空間技術研究院(CAST)や山東航天電子技術研究所の研究者たちが評価しているのは、「レーザー無線電力伝送(Laser Wireless Power Transmission:LWPT)」と呼ばれる技術で月を周回する衛星から月面に電力を送るというものだ。

 この技術では軌道上の衛星から月面の受信装置にレーザービームで電力を送信し、光を電気に変換する。研究者たちは、主要技術の開発と軌道上での試験を提案している。

 月面では夜間が14日と長いだけでなく、昼は100度、夜はマイナス170度という極端な温度変化が当たり前だ。LWPTは月の夜間に電力を供給するだけでなく、氷の状態で存在する水があると考えられるクレーターの影での宇宙機の運用も支援できる。月の赤道地域や極地などの供給対象エリアに応じた最適な軌道も評価されている。

 LWPTは月面でのエネルギー課題に対する解決策として注目されており、真空状態での利用が適していることが2024年10月の「深空探測学報(Journal of Deep Space Exploration:JDSE)」の論文で述べられている。しかし、同技術には、効率性や伝送距離、視認性、運用上の課題などが残っているという。

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JDSE掲載論文
SpaceNews

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