ニュース
Pale Blue、「水イオン」エンジンを宇宙で実証へ–世界初、伊企業の衛星に搭載
2025.01.08 20:07
Pale Blue(千葉県柏市)は、開発する水イオンエンジン「PBI」をイタリア企業D-Orbitが開発する小型衛星プラットフォーム「ION Satellite Carrier」に搭載して2025年内に2回打ち上げる。1月8日に発表した。
水蒸気をプラズマ化させた際に生じるイオンの噴出で推進するエンジンであるPBIを宇宙で実証するのが目的。打ち上げは6月と10月を予定している。水イオンエンジンを宇宙で実証するのは世界で初めて。
D-Orbitが開発するIONは、軌道上で衛星を輸送し、衛星ごとに異なる目的の軌道に衛星を個別に放出できるという小型衛星。打ち上げから運用までの時間を最大85%短縮し、衛星コンステレーション全体の打ち上げコストを最大40%削減できるとしている。これまでに14件のミッションに成功しており、複数の衛星放出やミッション機器の運用、宇宙での実証を実施しているという。
PBIは完全にモジュール化されており、市場に流通している類似サイズの製品では、最高水準のトータルインパルス7000Nsを実現していると説明。水が推進剤であることから安全性や取り扱いのしやすさ、調達しやすさなど性能以外にも複数のメリットがあると説明する。複数個を搭載してクラスタ化できる推進器(スラスター)であり、より幅広いミッションに対応できるとしている。
衛星が観測や通信などのサービスを安定的に提供するためには、軌道制御が重要な役割を果たす。軌道離脱や衝突回避など宇宙ゴミ(スペースデブリ)を発生させる余地を抑えることも求められるようになっていることからスラスターを搭載する小型衛星も増え続けているとされている。
Pale Blueが開発する、水を推進剤とする水エンジンは、PBIのほかに水蒸気で推進する「PBR」がある。PBRはソニーの超小型衛星「EYE」に搭載され、すでに宇宙で実証されている。
関連情報
Pale Blueプレスリリース