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スペースX、米宇宙軍向けにGPS衛星を打ち上げ–通常よりも短期間で対応
米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)は米国時間12月16日、測位衛星システム(GNSS)として米宇宙軍向けに高度な「Global Positioning System(GPS)」衛星を打ち上げた。
今回のミッション「RRT-1」は、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで打ち上げられた。RRTとは「Rapid Response Trailblazer」(迅速対応トレイルブレイザー)の略称で、GPS衛星を軌道に投入した(当初は13日を予定していたが、強風で打ち上げを中止していた)。
「ミッションでは既存の『GPS III』衛星を保管状態から引き出し、ロケットへの統合と準備を加速し、迅速な打ち上げ処理を実現する」と、米宇宙軍は述べている。SpaceXは米軍向けにGPS III衛星を3機打ち上げる契約を結んでおり、そのうち1機は2023年1月にすでに打ち上げられている。
「RRT-1ミッションは打ち上げの24カ月前からではなく、5カ月前に開始された」と、米宇宙システム軍団(Space Systems Command:SSC)大佐のJim Horne氏は述べている。「これは即時の衛星コンステレーションのニーズに対応する能力を示すだけでなく、宇宙機の準備が整い次第、能力を迅速に提供する柔軟性と即応性を示している」
ミッションは、SSCと米宇宙作戦軍団(Space Operations Command:SpOC)の複数の組織が進めた。衛星を製造するLockheed Martinとも連携した。SpOCでは通常、こうした衛星の打ち上げには6カ月の時間をかけるが、今回は半分の3カ月で済ませている。
SpOCに所属する大佐のAndrew Menschner氏は「今回の打ち上げは、GPSコンステレーションの軌道上での不具合など、運用上の必要性に迅速に対応する能力を示しただけでなく、現実的なシナリオに対応するため、打ち上げに関連する従来のスケジュールに挑戦する意欲を示した」と説明する。
「現在、31台のGPSが稼働中で、7台が軌道上で予備状態にあり、3台のGPS IIIが完成して打ち上げを待っている」(Menschner氏)