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ESA、世界初挑戦の「編隊飛行」衛星を打ち上げ–皆既日食を再現、太陽コロナを観測
欧州宇宙機関(ESA)の技術実証衛星ミッション「Proba-3」が打ち上げられる。
Proba-3は、重さが231kgの「Occulter」、重さが314kgの「Coronagraph」という2機の衛星で構成される。2機は、地球に最も近いところ(近日点)が高度600km、地球に最も遠いところ(遠日点)が高度6万530kmという極端な楕円軌道を周回する。
2機の衛星は約150mの距離で、OcculterがCoronagraphに届く太陽光を遮り、皆既日食を作り出す。疑似的な皆既日食から太陽コロナを研究する。
Proba-3では、長年の疑問とされている「なぜ太陽コロナは太陽そのものよりもかなり高温なのか?」の解明が期待されている(太陽表面は約6000度だが、太陽コロナは約100万度)。太陽の大気であるコロナは低部と高部があるが、その間は観測が困難な領域とされ、その領域の謎の解明にも挑む。
地球で観測できる皆既日食は年間1.5回、1回あたりの時間は約10分程度。Proba-3でOcculterとCoronagraphが作り出す皆既日食の時間は1回あたり6時間、回数は年間50回と計算されている。
太陽とOcculter、Coronagraphは一直線に並び、遠地点でOcculterに搭載される半径1.4mの円盤が太陽光を遮り、その影で見える太陽のコロナをCoronagraphが観測する。そのために、OcculterとCoronagraphはミリメートル単位で位置関係を制御する必要があるという。
OcculterとCoronagraphという2機の衛星による編隊飛行はすべて自律的に判断して展開される。このことから、Proba-3での試みはESAにとって初、世界でも初の挑戦と位置付けられている。
ESAと民間パートナーは、2014年から2億ユーロ(約320億円)の予算でProba-3を開発した。Proba-3は、ESAによる低コストで技術実証する軌道上飛行プロジェクト「Proba」シリーズの4回目の飛行となる。
Proba-3は、インド宇宙研究機関(ISRO)のロケット「Polar Satellite Launch Vehicle(PSLV)」でサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられる。
PSLVが選ばれたのは、Proba-3の約550kgという重さを軌道に乗せるのに必要な性能が「Vega-C」の能力を超えているためであり、「Ariane 6」ではコストがかかりすぎるためとESAは説明している。
打ち上げは世界標準時12月4日午前10時38分(日本時間同日午後7時38分)を予定。打ち上げの様子はYouTubeでライブ配信される。
【2024年12月4日午後7時20分更新】打ち上げは技術的な問題から翌日以降に延期された。