月探査機、衝突の可能性が1年半で40回--リスク回避で求められる国際的な取り決め

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月探査機、衝突の可能性が1年半で40回–9月にもインドと韓国の探査機が回避

2024.11.20 16:06

塚本直樹

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 インドの月探査機「Chandrayaan-2」(チャンドラヤーン2号)が9月に韓国の月探査機「Korea Pathfinder Lunar Orbiter(KPLO)」(愛称Danuri、タヌリ)との衝突を回避したことが、インド宇宙機関(ISRO)により報告されている。

 報告書によれば、Chandrayaan-2は9月19日に軌道を上げたことでタヌリへの接近を防いだ。10月1日に行われたその他の操作も、米航空宇宙局(NASA)の月探査機「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO)」を含む月周回衛星との衝突を回避するのが目的だったという。

 Chandrayaan-2、タヌリ、LROはいずれも月の極軌道を共有しているため、互いに接近し、衝突の危険性が非常に高くなる。タヌリを運用する韓国航空宇宙研究院(KARI)は過去1年半だけで、LRO、Chandrayaan-2、タヌリの衝突の可能性に関する警告を40回受け取ったという。

 各国の宇宙機関は、米ジェット推進研究所(JPL)が開発した「MADCAP」と呼ばれるプラットフォームを活用して衝突のリスクを計算し、警告を生成している。

 現在、宇宙機の衝突リスクを解決するための国際的な取り決め(プロトコル)は存在しない。NASA、KARI、ISROはメールや電話会議で自主的に宇宙機の軌道に関するデータを共有している。

「CH2O」がChandrayaan-2。KPLO(タヌリ)やLROと似たような月の極軌道を周回している(出典:ISRO)
「CH2O」がChandrayaan-2。KPLO(タヌリ)やLROも極軌道を周回している(出典:ISRO)

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