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花巻北高校の衛星「YODAKA」、打ち上げに成功–短歌の「上の句」を全国から募集
2024.11.05 18:23
岩手県の花巻北高校の生徒が携わった衛星「YODAKA」がSpace Exploration Technologies(SpaceX)の無人補給機「Cargo Dragon」に搭載され、「Falcon 9」ロケットで打ち上げられた。Space BDが11月5日に発表した。
YODAKAは、花巻市に拠点を構えるSPACE VALUEとSpace BDが手掛ける「UP花巻」プロジェクトの一環として、花巻北高校の生徒が携われるものとして企画された。衛星の開発、製造、運用はアークエッジ・スペースが担っている。
YODAKAは4月に完成。ミッションは、地球を周回するYODAKAに地上から短歌の上の句と下の句を別々に送信して偶然に出会った組み合わせの短歌(連歌)を作成するというもの。
2022年にミッション決定会で当時2年生だった同校生徒がプレゼン大会を勝ち抜き、決定された。3年が経ち、後輩にミッションが引き継がれ、現在の1年生、2年生が中心になってミッションに取り組んでいる。
送信する上の句(5・7・5)は全国から集めて、下の句(7・7)はプロジェクトに関わっている花巻北高校の生徒が作成する。上の句は、ウェブから誰でも応募できる。短歌のテーマは「夜空」。応募の締め切り12月25日。
11月5日午前11時29分に打ち上げられたCargo Dragonは、11月6日午前0時15分(米東部時間11月5日午前10分15分)に国際宇宙ステーション(ISS)の「Harmony」モジュールにドッキングする予定。
米航空宇宙局(NASA)はISSに物資の輸送を委託する「商業補給サービス(Commercial Resupply Services:CRS)」をSpaceXを含む民間企業と契約している。今回のミッション「NASA 31st Commercial Resupply Service mission」(SpX-31)はミッションを運用するSpaceXにとって31回目(CRSのフェーズ2「CRS-2」では11回目)。
YODAKAは、ISSの日本実験棟(JEM)「きぼう」にある「小型衛星放出機構(JEM Small Satellite Orbital Deployer:J-SSOD)」から放出される予定。J-SSODは、キューブサット規格(10cm×10cm×10cm)の衛星や50kg級の超小型衛星をきぼうのエアロックから搬出して宇宙に打ち出して軌道に乗せるための仕組み。
放出可能な最大サイズは6U、W6Uとなっている(キューブサット規格=縦10cm×横10cm、高さがそれぞれ1U:10cm、2U:20cm、3U:30cm、4U:40cm、5U:50cm、6U:60cm。W6U:縦10cm×横20cm×高さ30cm。50kg級衛星=55cm×35cm×55cm)。
J-SSODから衛星を放出したい企業などに対応する窓口はSpace BDと三井物産エアロスペースが担っている。放出枠の7割が2社に事業移管されている。研究開発や人材育成に加えて、商業利用を目的にした衛星放出も可能になっている。