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ボイジャー2号、一部観測機器の電源を停止–2030年代までの探査継続狙う
2024.10.03 15:00
現在、恒星間空間を航行する米航空宇宙局(NASA)の探査機「Voyager 2」(ボイジャー2号)に搭載される「プラズマ」観測装置の電源を9月26日に落とした。運用する米ジェット推進研究所(JPL)が10月1日に発表した。
今回の対策によって、2030年代まで少なくても1つの観測機器で探査活動を継続できるという。
1977年8月に打ち上げられたVoyager 2は、1979年に木星、1981年に土星、1986年に天王星、1989年に海王星をフライバイ観測。2018年11月に太陽圏を離脱した。現在は地球から205億km以上離れ、時速5万km以上の速度で航行している。
太陽圏の外側を探査するため、Voyager 2は4つの観測機器を活用しており、ミッションに携わる技術者は、Voyager 1とVoyager 2で収集されたデータは唯一無二ものであることから、できるだけ長い間、観測機器の電源を落とさないように対策を講じてきたという。
今回電源が落とされた、分子が電離して陽イオンと電子に分かれて運動する状態であるプラズマを観測する機器は、2018年にVoyager 2が太陽圏を離れたかどうかを判断するという重要な役割を果たした。ほかの観測機器を延命させるため、プラズマ観測機器の電源を落とすという判断に至っている。
Voyager 2とはNASAの深宇宙情報網「Deep Space Network(DSN)」で通信しているが、200億km以上離れているため、Voyager 2に信号が届く前に19時間、Voyager 2から信号が戻ってくるまでにさらに19時間かかったという。
打ち上げられてから47年というVoyager 2の運用に加えられる変更に対して技術者たちは常に注意深く監視し、望ましくない反応が起きないようにしていると説明。今回の電源停止が問題なく実行され、探査機が正常に動作していることを確認したという。
ミッションチームは、1980年代に木星や土星などの巨大惑星の観測終了後、恒星間空間の探査には使わない、いくつかの観測機器の電源を落としている。おかげで、探査機全体を稼働させるのに十分な電力を獲得。以降、いくつかのヒーターを含め不必要なシステムのすべての電源は落とされている。チームは、別の観測機器の停止を先延ばしにするためにVoyager 2の電圧の監視方法も調整している。