ElevationSpace、NEDO助成事業「SBIR」フェーズ2に採択

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ElevationSpace、NEDO助成事業「SBIR」フェーズ2に採択

2024.10.03 14:00

UchuBizスタッフ

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 ElevationSpace(仙台市青葉区)は10月2日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業である2024年度「SBIR推進プログラム」(一気通貫型)のフェーズ2に採択されたことを発表した。助成期間は2026年3月末まで。

 大気圏に突入する宇宙機やロケットエンジンの燃焼室などの熱負荷に対して現在の一般的な熱防御法は、対象となる熱負荷のレベルに応じた耐熱材料を選定することであり、熱負荷分布が空間的に複雑な対象の場合、最大熱負荷を設計点として耐熱材料を選定する方法が採用されているという。

 だが、この方法だと、過剰な安全設計となる場合が多く、ロケットモーターや大気圏突入機では、全重量に対する熱防御システムの重量比が大きいことから、システム全体の軽量化の大きな障害となっているとしている。

 今回の助成事業は、こうした課題に対して強化繊維の組込方法やマトリクス樹脂による熱硬化技術を駆使して、要求される熱的・物理的応答を示すように機能性耐熱材料を最適に設計、施工することで複雑な熱負荷に対しても熱拡散や表面損耗を最小化する高度な軽量熱防御システムを設計、製造する技術を獲得することを目的にしている。

(出典:ElevationSpace)
(出典:ElevationSpace)

 同社が開発を進める宇宙環境利用回収プラットフォーム「ELS-R」は、運用が終了する国際宇宙ステーション(ISS)の2030年以後を見据えて、顧客企業から預かった貨物(ペイロード)を搭載して打ち上げ。地球低軌道(LEO)上でオペレーション実施後、大気圏を燃え尽きずに通過して、回収カプセルが地球に帰還し、最終的にペイロードを顧客企業に返却するというサービスになる。

 ELS-Rでは、ペイロードを搭載して宇宙空間で実証、実験して地球に帰還するという通常の人工衛星にはない機能を搭載するため、一般的な衛星開発とは異なる技術が多数必要になると説明する。

 回収カプセルもまた世界的に前例が少ない、非常に難しい技術と説明。大気圏への再突入では、数千度という高温に晒され、大抵の物体は燃え尽きる。ELS-Rの回収カプセルは燃え尽きずに、ペイロードを損傷させずに地上で回収する。こうした技術は難易度が高いという。大気圏の再突入と回収に成功している民間企業は世界的にもほとんどないとしている。

 同社の説明によると、再突入・回収技術を持っている国は米ロ中日の4カ国しかないという。小型衛星の制御、再突入、回収を行っている国は日本のみとしている。ELS-Rの初号機「あおば」の打ち上げは2026年以降を予定している。

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ElevationSpaceプレスリリース

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