巨大ロケット「SLS」、部品の契約が延長--NASA、アルテミス計画の遅延を考慮か

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巨大ロケット「SLS」、部品の契約が延長–NASA、アルテミス計画の遅延を考慮か

2024.08.26 08:30

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米航空宇宙局(NASA)の巨大ロケット「Space Launch System(SLS)」の部品に関する契約が延長されたことが海外メディアのSpaceNewsで報じられている

 NASAは米国時間8月21日、有人月周回ミッション「Artemis II」で使用されるSLSの「ロケット上段アダプタ(Launch Vehicle Stage Adapter:LVSA)」を出荷した。アラバマ州のマーシャル宇宙飛行センターで製造されたLVSAは、フロリダ州のケネディ宇宙センターで他の部品と統合される。

 LVSAは、SLSの第1段(コアステージ)とロケット第2段(上段)の中間低温推進ステージ(ICPS)を接続するために使用されるが、使用されるのは現行バージョンの「Block 1」。次期バージョン「Block 1B」以降でLVSAは使用されない。

 米Teledyne Brown EngineeringはLVSAの製造を2億ドル(約290億円)で請け負い、2024年9月に契約が終了する予定だった。しかしNASAから提出された調達申請書では、この契約が2026年9月まで延長される意向が示された。これにより、同社は3番目と最後のLVSAの作業を完了することが可能になる。

 こうした変更は、Artemis IIと有人月着陸ミッション「Artemis III」が、それぞれ2025年9月以降と2026年9月以降に延期されたことも影響している。NASAは「SLSの打ち上げにさらなる修正が必要な場合」に備え、LVSAの契約を延長したと説明している。LVSAの契約にはいくつかの延長オプションが付けられているが、すべてが行使された場合、2029年12月まで延長される。

 LVSAが使われるバージョンであるBlock 1はArtemis IIとArtemis IIIを打ち上げる予定となっている。LVSAが使われないバージョンであるBlock 1Bは「Artemis IV」と「Artemis V」を打ち上げる計画。

8月21日にはしけ船に運び込まれるLVSA。LVSAは組立施設に運ばれ、その後、フロリダ州のケネディ宇宙センターに移動してSLSが組み上げられる(出典:NASA / Samuel Lott)
8月21日にはしけ船に運び込まれるLVSA。LVSAは組立施設に運ばれ、その後、フロリダ州のケネディ宇宙センターに移動してSLSが組み上げられる(出典:NASA / Samuel Lott)

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LVSA概要
LVSA調達申請書
SLS概要
SpaceNews

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