欧州探査機、世界初のダブルスイングバイ--木星に向けてブレーキ

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欧州探査機、世界初のダブルスイングバイ–木星に向けてブレーキ

2024.08.21 16:15

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 欧州宇宙機関(ESA)の木星氷衛星探査機「JUICE」が欧州時間8月19日、月から750kmの位置を通過した。月と地球の重力を使った“スイングバイ”(「天体重力推進」「重力アシスト」とも呼ばれる)に挑戦している。

 JUICE(Jupiter Icy Moons Explorer)は木星の衛星「ガニメデ」「エウロパ」「カリスト」を観測し、生命やその痕跡の存在を調査する。2023年4月に打ち上げられ、2031年の木星到着を目指している。

 19日にJUICEは月に接近してスイングバイし、その後で地球に接近してスイングバイする。画像は、JUICEに搭載されたカメラで撮影されたものだ。

 ESAによれば、月と地球という二重のスイングバイはこれまでなかったという。この2つのマヌーバと、2025年8月の金星でのスイングバイを利用して、JUICEは木星に向かう。

(出典:ESA / Juice / JMC)
(出典:ESA / Juice / JMC)

 今回の月でのスイングバイは、JUICEにブレーキをかけたとESAは説明する。一般的にスイングバイは宇宙機の速度を上げるために活用されるが、JUICEの月と地球でのスイングバイは、JUICEの軌道を変えることが目的。ESAは、今回のダブルスイングバイについて木星に近づくために「太陽系内をショートカットする」と表現している。

 JUICEには宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所(ISAS)が協力している。ISASは「ガニメデレーザー高度計(GALA)」「電波プラズマ波動観測器(RPWI)」「プラズマ環境観測パッケージ/非熱的中性粒子分析器(PEP/JNA)」「可視分光映像カメラ(JANUS)」「磁場計測器(J-MAG)」「テラヘルツ分光計(SWI)」の6つの観測装置をJUICEに搭載させている。

(出典:ESA’s Juice mission)

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