ニュース
だいち4号搭載のLバンドSAR撮影画像が公開–「4倍の観測幅」に潜む可能性を見る
2024.07.31 19:00
7月1日に打ち上げられた「だいち4号」(ALOS-4)は現在、初期機能確認として運用されているが、搭載されたLバンドの合成開口レーダー(SAR)「PALSAR-3」の撮影した画像が公開された。
だいち4号に搭載されたPALSAR-3(Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar-3)はSARとして世界で初という「デジタルビームフォーミング」技術を活用。「だいち2号」(ALOS-2)の3mという高い空間分解能を維持しながらも、観測範囲は最大4倍(200km)に拡大されていると説明する。
Lバンドは、SARで活用される電波の中でも長い波長帯(約24cm)であり、植生を透過して地面に届くことで、より地面の情報を得やすいという。Xバンド(波長帯は約3cm)やCバンド(波長帯は約6cm)では、森林を観測すると、主に木の上の葉の部分で電波が反射してしまう。
LバンドSARは「だいち」(ALOS)とだいち2号でも活用されている。「干渉SAR(Interferometric SAR:InSAR)」を使う場合でも、地面の情報を得やすいLバンドが最適とされている。
デジタルビームフォーミング技術は、アンテナで受信した電波をオンボードで高速にデジタル処理し、位相を調整すると同時に信号を合成することで、アンテナのビーム指向方向を任意に生成できるという。だいち4号では、同時に最大4方向にビームを形成できる。
だいち4号は、通信速度が3.6Gbpsでデータ転送できる。発生するデータ量が大きな、高分解能3mの観測でも、水平偏波送信と水平偏波受信の「HH偏波」、水平偏波送信と垂直偏波受信の「HV偏波」での2偏波観測が常時可能。
画像4と画像5は、2偏波のデータから合成した疑似的なカラー画像で、緑色が植生、明るい紫色や黄緑色が市街地、暗い紫や黒は裸地や水面などを表している。偏波情報で地表の状況を容易に判別できるようになることで、災害状況の把握や森林伐採の監視などへの活用が期待できるとしている。
関連情報
JAXAプレスリリース