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ロケットラボ、戦略的買収で米政府の防衛分野に注力
Rocket Lab(ロケットラボ)による軍事衛星向けセンサー開発のGeost(ジオスト)の買収は、同社が米国での軍事衛星契約の地位を確立する第一歩だと米メディアのSpaceNewsが指摘している。
小型ロケットを運用するRockt Labは5月、Geostの買収を発表した。Geostは軍衛星向けに光学・赤外線(EO/IR)センサーを製造している企業で、この買収でRocket Labはミサイル警戒システムや宇宙監視に使用されるセンサー技術を手に入れ、米国防総省との契約に向けた競争力を高めることができる。
Rocket Labの最高経営責任者(CEO)であるPeter Beck(ピーター・ベック)氏は「まだ終わっていない」とSpaceNewsに語り、今後もさらなる買収があることを示唆した。「米政府が求めているのは、コスト面でも打ち上げ頻度でもこれまでにない水準を実現できる、破壊的な新しいプライムだ。それに応える体制を整えることが、我々の目標だ」
Rocket Labはコスト削減、スケジュールリスクの軽減、部品の確保を目的に主要技術を買収して内製化している。2020年以降で5社を買収している。同社は、米宇宙開発庁(SDA)との5億1500万ドル(約740億円)の契約でMynaricの光通信端末を選定した。これがきっかけでRocket LabはMynaricを買収した(現在、手続きを進めている)。
Rocket Labの最終的な目標は「設計から製造、統合、打ち上げまで、一貫提供する企業体制の構築」という。「国家安全保障分野のビジネスチャンスは極めて大きい。我々はその市場で確実にプレイヤーとなるために、さらに規模と能力を高めていく」とBeck氏は述べている。
同社は、2006年にニュージーランドで設立され、現在は米国にも進出している。小型の液体燃料ロケット「Electron」は日本のSynspectiveやQPS研究所、アストロスケールが開発した宇宙機を打ち上げている。Rocket Labは米国の防衛や情報機関といった国家安全保障市場に特化して打ち上げサービスを提供するRocket Lab National Securityを2022年12月に設立している。

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