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【動画】世界初「デブリをぐるっと1周」–アストロスケールが「H-IIA上段」の周回撮影に成功

2024.07.30 16:03

小口貴宏(編集部)

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 アストロスケールは7月30日、自社開発した商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」を用い、デブリの周回観測に世界で初めて成功したと発表した。

 観測したのは日本由来の巨大スペースデブリであるH-IIA上段だ。同デブリは2009年に打ち上げられたH-IIAロケット15号機の第2段で、全長約11m、直径約4m、重量約3トン。温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を軌道投入した後にデブリとなった。

 ADRAS-Jは、H-IIA上段から約50mの距離を維持しつつ、360度周回する運用を行った。太陽や地球からの照明条件がダイナミックに変化するなか、デブリの鮮明な連続撮影に成功した。

 今回の周回観測は、デブリを捕獲するために必要な「デブリに安全に近づき、観察する」技術の実証を目的としている。今後は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受託した「CRD2」の「フェーズ2」ミッションにもとづき、同デブリを実際に捕獲し、大気圏へ再突入させることを目指す。

これまでのADRAS-Jミッション運用実績

2月18日:Rocket LabのElectronロケットにより打上げ  
2月22日:デブリへの接近を開始  
4月9日:相対航法(AON※9)と近傍接近を開始  
4月16日:相対航法(MMN※10)を開始  
4月17日:デブリの後方数百mへの接近に成功  
5月23日:デブリ後方約50mへ接近に成功  
5月23日:定点観測(1回目)を実施・成功  
6月17日:定点観測(2回目)を実施・成功  
6月19日:周回観測(1回目)を実施。アボートにより衝突回避機能の有効性を実証  
7月14日:デブリ後方約50mに到達、定点観測(3回目)を実施・成功  
7月15日:周回観測(2回目)を実施・成功  
7月16日:周回観測(3回目)を実施・成功

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