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大学生や中高生が開発のキューブサットで世界初の試み–2024年3月に打ち上げ
2022.08.09 17:48
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と一般社団法人e-kagaku国際科学教育協会(京都市伏見区)は2024年3月に打ち上げ予定の「e-kagakuジュニア衛星」の軌道上実証実験について共同研究契約書を6月16日に締結した。8月9日に発表された。
2024年3月に打ち上げ予定のe-kagakuジュニア衛星は、10cm×10cm×10cm、重量1kgのキューブサット。地球上から光学観測できるほぼ限界の大きさとなっており、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」から放出されるという。
共同研究では、e-kagakuジュニア衛星にJAXAが開発した衛星レーザー測距(Satellite Laser Ranging:SLR)用の超小型反射器「mini-Mt.FUJI」を搭載。「きぼう」から放出された衛星の軌道をSLRで高精度に把握する世界初の試みという。衛星が大気圏に再突入するところまで観測する予定。
mini-Mt.FUJIは、人工衛星に取り付けられたSLR反射器に向けて地上のSLR局からレーザーを照射。反射して返ってきた光について、再び検知するまでの往復時間を計測することで、SLR局と人工衛星との距離をミリメートル級で測定できるという。
今回の共同研究では、JAXAがmini-Mt.FUJIの技術情報と軌道決定情報を提供するほか、観測システム、解析技術を活用して同プロジェクトに取り組むという。e-kagaku国際科学教育協会は、mini-Mt.FUJIの設計や製造、試験、打ち上げと運用を担当する。共同研究の結果については、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の軌道解析にも貢献できると考えているという。
e-kagakuジュニア衛星は、6人の大学生と36人の中高校生が取り組んでいるという。文部科学省や経済産業省、総務省が後援するイベント「Space Robot Contest」の選抜者で構成されている。2020年から開始し、約2年かけて“ブレッドモードモデル”の作成に成功し、今後実機を制作する第2フェーズに入るとしている。