衛星の異常検知AI開発、スカパーJSATも参加--鉄道の故障予測AIを活用

ニュース

衛星の異常検知AI開発、スカパーJSATも参加–鉄道の故障予測AIを活用

2024.05.23 16:14

UchuBizスタッフ

facebook X(旧Twitter) line

 西日本旅客鉄道(JR西)が業務で使っている機械故障予測AI(人工知能)技術を衛星などの宇宙機への適用を目指す取り組みにスカパーJSATが加わった。JR西日本と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、スカパーJSATの3者で事業共同実証活動を開始した。5月23日に発表した。

 JR西とJAXAは「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みで2022年10月から事業コンセプト共創活動を進めてきた。JAXAの衛星からのテレメトリーデータの資産と運用ノウハウ、JR西の鉄道設備メンテナンスのデータ分析やAI開発技術、実装ノウハウを掛け合わせることで衛星の故障や異常兆候を検知するAIを開発してきた。

 これまでの検討から、従来の運用管制では視覚的に確認しづらい、外部環境からの影響や複数のテレメトリーデータの相互関係を可視化させ、宇宙機運用の品質向上や業務効率化につながる複数のAIモデルを構築したという。

 この取り組みにスカパーJSATが参加することで、商用で衛星を運用する際の課題を明確化させ、衛星テレメトリー解析AIモデルを高度化できると説明。実際の運用環境での利用に向けた実証から異常兆候検知AIを活用した運用品質の向上と業務効率化、安定運用を目指すとしている。各社の役割は以下の通り。

  • JAXA
    衛星運用のノウハウや異常兆候など知見を提供し、今後の衛星運用の品質向上や業務効率化に役立つ知見を獲得する。獲得した知見を衛星コンステレーションなど衛星機体数増加に伴う効率化が求められる衛星運用への適用に生かしていく
  • スカパーJSAT
    衛星通信事業者として培ってきた運用実績と知見、保有する衛星のテレメトリーデータを提供し、開発された故障予測技術を評価、フィードバック。実運用している衛星への適用を目指して実証実験を進める。衛星の運用品質の向上や業務効率化を進め、衛星のヘルスマネジメント事業とスカパーJSATの他事業への水平展開を検討する
  • JR西
    独自のデータ分析組織があり、自動改札機の故障予測をはじめ、社内で開発したAIなどを実際の業務に使用。AIの開発技術や業務実装ノウハウを提供し、JAXAとスカパーJSATの知見を取り込み、宇宙機向け検知AIを実装するための設計や制作を担う
取り組みイメージ(出典:JR西、スカパーJSAT、JAXA)
取り組みイメージ(出典:JR西、スカパーJSAT、JAXA)

関連情報
プレスリリース

Related Articles