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ついに決定した「日本人初の月面着陸」–いつ実施?誰が行く? JAXA理事長の見解は

2024.04.20 08:50

小口貴宏(編集部)

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 米国主導の有人月面探査計画「アルテミス」(Artemis)で、2人の日本人宇宙飛行士が月面に降り立つことが決まった。米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官と、盛山正仁文部科学大臣が取り決めに署名した。トヨタの月面探査車「ルナクルーザー」が月面を走ることでも合意した。

 「日本人が月面着陸する時期は決まっているのか」──。定例会見で記者に問われた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の理事長 山川宏氏は次のように回答した。

 「JAXAとしては『もちろんできるだけ早く』というのが私の答えられるところだが、実際問題としてNASAのシステムの開発状況やJAXAの準備状況、各国政府との調整などの整合性が取れた段階で初めて(日本人の月面着陸を)実施できる、今の段階では『いつ』とは申し上げられないが、我々のできる準備を着実に進め、できるだけ早く実施していきたい」(山川氏)

 アルテミス計画ではアポロ計画以来、約半世紀ぶりの有人月面着陸を実施する計画だが、有人月面着陸の第一弾となる「Artemis III」の実施時期は、当初の2025年から2026年に延期されている。

 また、月着陸船にはSpace Exploration Technologies(SpaceX)の大型ロケット「Starship」を用いる計画だが、Starshipは依然として試験段階にあり、アルテミス計画のさらなる延期を予測する声もある。

誰が行く?必要な資質は?

 月面に降り立つ日本人宇宙飛行士は、今後JAXAが選抜することになる。現時点でJAXAの宇宙飛行士は候補者を含め7人で、この中から2人が選ばれる可能性が濃厚だ。 

 7人のうち誰が月面に降り立つのか。山川氏は「まだ何も決まっていない。月面では何をして、どんな資質が求められるのか、選抜の方法も含めて詰めていく」と述べた。

 また、月面に降り立つ宇宙飛行士に必要な資質については次のように述べた。

 「正式には何も決まっておらず、これから申し上げることをJAXAの実務担当が聞いたら怒るかもしれないが、大きく3つあると考えている。リーダーシップとフォロワーシップ、それから発信力だ。国際宇宙ステーション(ISS)と比べて、月面に行ける人は少ない。その貴重な機会を捉えて、きちんと世界に発信する能力はとても重要だ。もちろん技術的な技量はこれまでと同様で、それに加えてリーダーシップ、フォロワーシップ、発信力が求められると思っている」(山川氏)

 なお、前述の日米合意を受けて、JAXAの宇宙飛行士と候補者の7人がコメントを出したが、その中でも大西卓哉氏が「月面で活動する宇宙飛行士に選ばれるよう努力する」と明言していた。この発言について山川氏は「月面に行きたくないと思っている人はいない」と述べ、7人全員が月面行きを希望しているとの認識を示した。

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