ニュース
学生が開発した超小型衛星、今夏に宇宙に放出–千葉工大、JAXAに引き渡し
2024.04.19 08:00
千葉工業大学は4月18日、超小型衛星「SAKURA」について、国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げに向けて、4月17日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)に引き渡したと発表した。今夏にISSの日本実験棟「きぼう」から放出される予定。
SAKURAは、2022年7月に当時の学部2年生が開発に着手した1U(10cm×10cm×10cm)のキューブサット。衛星基本機能の宇宙空間での動作を確認するとともに、撮影した画像1枚を地球上で画像に復元することを「ミニマムサクセスレベル(最低成功条件)」に設定している。
自然災害が多い日本のリスクのひとつに火山噴火が挙げられることから、SAKURAでは、桜島を撮影して定期的に観測する。噴火前後の変化を比較することをミッションのひとつに考えているという。
太陽の観測に加えて、火山や洪水、台風を対象とした地球観測にも挑戦。アマチュア無線局がアマチュア無線電波上に生データをリアルタイムに配信するパケット通信プロトコルである「APRS(Automatic Position Reporting System)」で一般アマチュア無線家へのメッセージ送受信にも挑戦する。
SAKURAという名称は、学生自らが考え、植物名から命名。ミッションのひとつである「桜島を撮影する」から命名したという。
SAKURAは、拡大する宇宙産業を支えるために、宇宙で確実に動くモノづくりができる高度技術者育成プログラムの一環として、同大の学生が開発した。
世界の宇宙産業はここ数年で数倍に拡大しており、日本でも旧来の宇宙企業に留まらず、多くのベンチャー企業が宇宙ビジネスアイデアを提案し企業活動を開始しているという。
しかし、新たなビジネスアイデアを実現するために不可欠な技術者が圧倒的に不足している。そこで同大学では、宇宙で確実に動くものづくりができる技術者を育成するために、2021年4月から「高度技術者育成プログラム」を実施。SAKURAは、同プログラムの一環として同大学の学生が開発した。
4月11日には初号機となる「KASHIWA」が放出された。KASHIWAは、同プログラムで開発された衛星の初号機。SAKURAは3号機になる。
関連情報
千葉工大プレスリリース