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5月5日に科学講演会–月着陸に(越夜にも)成功「SLIM」関係者が語る
2024.04.17 17:00
「SLIM」で日本初の月着陸を成功させた宇宙科学研究所(ISAS)は、広く一般に宇宙科学への理解を深めてもらうために、アツい話題を中心にした講演会を毎年開催している。毎回研究者を中心に臨場感を込めて語ると説明。会場からの質問にも回答するという。「日頃抱いている、宇宙に関する疑問を直接聞いてみませんか」(ISAS)
今年のテーマは、もちろん「SLIM(Smart Lander for Investigating Moon)」。5月5日午後1~4時に相模女子大グリーンホールで開催する。先着順で定員は1000人。入場はウェブから予約できる。
第1部の講演会では、SLIMのプロジェクトマネージャーを務めた坂井真一郎氏(宇宙機応用工学研究系教授)とSLIMプロジェクトでペイロードマネージャーを務めた大竹真紀子氏(会津大学教授)が講演する。
大竹氏は、1997年に宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)に所属し、日本で初めての大型月探査機「かぐや」に搭載されたマルチバンドイメージャー(MI)などの開発に携わった。2002年からはMIの開発責任者として従事。2007年以降は、かぐやの打ち上げ成功を受けて、MIで取得した分光画像データの処理で月面の地質解析に携わった。
2003年からはISASの教員として研究を進めるとともに小惑星探査機「はやぶさ2」の分光計の開発などで太陽系探査に関わっている。SLIMではペイロードマネージャーを担当。SLIMの次となる、月極域探査機「LUPEX(LUnar Polar EXploration)」チームにも所属している。2020年3月から会津大学に赴任して、AI(人工知能)による地球を含む表画面を活用した地質図の作成アルゴリズムの開発や関連する研究を進めている。
第2部のパネルディスカッションには、SLIMの推進系に携わった道上啓亮氏、SLIMの航法誘導制御システム(GNC)に関わった伊藤琢博氏、SLIMに搭載された小型探査機(プローブ)「LEV(Lunar Excursion Vehcle)」の開発に関係した宇佐美尚人氏(LEV-2が逆立ちで月面に着陸したSLIMを撮影、LEV-1が地球に送信した)、LEV-2(愛称「SORA-Q」)のプロジェクトリーダーと務めた、タカラトミーの赤木謙介氏が登壇する。
SLIMは、世界初のピンポイント月面軟着陸に成功したことで注目されているが、設計に盛り込まれていなかった月面での「越夜」に成功したことでも注目されている。
今回の科学講演会でSLIMの開発や運用に現場で携わった担当者ならではの裏話も聞けるかもしれない。講演とパネルディスカッションについてISASは「内容は大人向けだが、どなたでも入場できる」としている。
会場のロビーではSORA-Qのデモンストレーションが計画中という。会場には「宇宙なんちゃら こてつくん」のこてつくんもやってくる。
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ISAS発表