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月面着陸した「SLIM」の現況、JAXAが公開–着陸精度は3〜4mを達成か

2024.01.25 14:01

小口貴宏(編集部)

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月25日、日本初の月面着陸に挑んだ小型月着陸実証機「SLIM」の詳細を説明した。宇宙科学研究所で所長を務める國中均氏は「ピンポイント月面軟着陸の成功を確認した」と述べた。

推定される着陸位置及び姿勢から作成したCG画像(提供:JAXA、CG製作:三菱電機エンジニアリング)
SLIMが放出した超小型探査車「SORA-Q」が撮影した月面
SLIMのマルチバンド分光カメラが撮影した月面画像
正常だった場合の着陸姿勢

月面着陸結果の報告

 1月20日午前0時から20分間かけて実施したSLIMの月面着陸について、JAXAの報告は下記の通り。

 「障害物回避を行う直前、高度50m付近まで、SLIMは正常に着陸降下した。特に、14回実施した画像照合航法は、その航法結果も含めて、全て正常であった」

 「SLIMのピンポイント着陸精度は障害物回避の直前で評価することが適切であり、評価の結果、ピンポイント着陸精度は10m程度以下であり、3~4m程度であった可能性が高いと考えている」

 「高度50m付近で、何らかの異常が発生し、結果としてメインエンジン2基のうち1基を喪失した。一定の冗長性を有していたことから、SLIMは着陸できなくなるといった致命的な破綻をきたすことなく、ゆっくりと東に移動しながら緩降下を続け、高度5m付近で小型プローブ(LEV-1とLEV-2(SORAQ))を分離、月面に送り届けることを達成した後、仕様範囲より低い降下速度で接地した。但し、降下速度以外の接地条件が仕様範囲を超えていたため、想定と異なる姿勢で静定した」

 「接地した位置は、着陸目標地点から東に55m程度の地点と推定されている。静定後の姿勢は、太陽電池パネルが西を向いた姿勢と考えており、着陸時に太陽は東側に位置していたことから、太陽電池からの発生電力が失われた状態となった」

 「着陸後、探査機との通信は確立されていたものの、太陽電池からの電力発生が確認できなかったことから、異常時対応手順に従い、着陸降下中の画像を含む各種データを取得し、マルチバンド分光カメラのスキャン撮像を実施した後、探査機機能維持のためにコマンドでバッテリーを電源から切り離した。これにより、SLIMは電源オフとなった」

 「今後、太陽が西側に移動してくるにつれて、徐々に太陽電池による電力発生が回復し、運用再開が可能となることを期待している。運用再開後は、マルチバンド分光カメラによる10バンドでの科学観測を実施する予定であり、観測候補地点はスキャン撮像結果から選定済みである」

まとめ

 JAXAの報告をまとめると、高度50m付近までは正常だったが、高度50m付近でメインエンジン2基のうち1基を喪失。しかし、一定の冗長性を有していたことから、仕様範囲よりもゆっくりと降下し、想定と異なる姿勢で静定した。

 着陸場所は目標地点から東に55mずれていた。ただし、「着陸精度は障害物回避の直前で評価することが適切」とし、その場合は「精度は3~4m程度であった可能性が高いと考えている」とSLIMのプロジェクトマネージャーを務める坂井真一郎氏は説明した。

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