QPS研究所、小型SAR衛星7号機「ツクヨミ-II」のアンテナ展開に成功--次は画像取得

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QPS研究所、小型SAR衛星7号機「ツクヨミ-II」のアンテナ展開に成功–次は画像取得

2024.04.10 12:05

塚本直樹

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 小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は、日本時間4月8日に打ち上げた小型SAR衛星「QPS-SAR」7号機「ツクヨミ-II」のアンテナ展開を成功させた。

 ツクヨミ-IIは、Space Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon 9」ロケットで日本時間4月8日午前8時16分に打ち上げ、同10時2分に予定軌道へ投入。その約1時間後にツクヨミ-IIとの初交信に成功し、各機器の正常動作も確認した。

 4月8日深夜に収納していたアンテナの展開を実行した後、各種機器の動作情報、ジャイロなどセンサー類の情報、ツクヨミ-IIの自撮り(セルフィー)画像を検討し、アンテナが無事に展開したことを確認した。今後、衛星の調整を続け、初画像の取得を目指す。

(左から)アンテナ展開前、アンテナ展開後(出典:QPS研究所)
(左から)アンテナ展開前、アンテナ展開後(出典:QPS研究所)

 QPS研究所は現在、1号機「イザナギ」、2号機「イザナミ」、6号機「アマテル-III」の3機を運用中。これに2023年12月に打ち上げた5号機「ツクヨミ-I」と、今回の7号機であるツクヨミ-IIが加わる(3号機と4号機は、2022年10月の「イプシロン」ロケット6号機の打ち上げ失敗で失われてしまった)。ツクヨミ-Iは高精細(スポットライト)モードの撮影動作まで確認済み。

 既存の3機が太陽同期軌道(SSO)で周回中なのに対し、5号機と7号機は中傾斜軌道に投入されている。

 QPS研究所は、従来のSAR衛星に比べ質量が20分の1、製造コストが100分の1という小型SAR衛星を開発する企業。現在、夜間や天候不良時でも高分解能かつ高画質に観測できるというSAR画像を提供している。

 衛星を毎年複数機打ち上げ、2025年以降を目標に36機体制の小型SAR衛星によるコンステレーションを構築する計画。実現すれば、平均10分ごとの「準リアルタイム地上観測データサービス」を提供できるとしている。

Falcon 9で打ち上げ(出典:SpaceX)
Falcon 9で打ち上げ(出典:SpaceX)

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QPS研究所プレスリリース

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